ウォーホル(1928~1987)の作品をみればみるほど感心することがある。それは色彩にたいする感覚が抜群にいいこと。‘マリリンモンロー’や肖像画シリーズでもそのことはすごく感じられるが、人物画だと顔の表情に気を取られる。
だから、ウォーホルの色彩を楽しむなら色彩の組み合わせがそのまま作品の魅力となっている‘花’シリーズがいい。この浮かび上がる赤や黄色などの花びらをみるとウォーホルは生まれながらのカラリストだなと思う。
今日から待望の‘ホイッスラー展’がはじまった横浜美、ここで企画展があるときは見終わったあと必ず館蔵の作品も楽しむことにしている。そこでいつもじっとみてしまうのがイサム・ノグチ(1904~1988)の‘真夜中の太陽’、はじめてみたときすぐ海にいるウミヘビを連想した。胴体の黒がこのジャンボドーナツの模様と重なる。代表作のひとつである太陽シリーズ、ここにはもう一点‘下方へ引く力’も一緒に展示してある。
デュビュッフェ(1901~1985)の大きなオブジェ‘冬の庭’はこの作家に惹かれるきっかけになった作品、1991年パリへ出かけたとき、新装なったジュ・ド・ポーム国立美で行われていた‘デュビュッフェ展’に遭遇した。
そこにでていたのがちょっとした部屋になっている作品‘冬の庭’、東北の冬の風物詩、かまくらを体験する感覚で中に入った。壁は不定形な曲線で形づくられる変形円でうめつくされているが、これが結構柔らかく居心地がいい。いっぺんにデュビュッフェのファンになった。
ヨーゼフ・ボイス(1921~1986)とフェルトという素材は切っても切り離せない。グランドピアノをフェルトで覆いかくし、別の作品ではまともにフェルトそのものをみせる、‘フェルトのスーツ’はそのひとつ。あまりに身近なので拍子抜けがする。
スーツを部屋になかでこんな風に掛けているところをみせたかったわけ?作品のつながりを知ってないとこう思ってしまう。ボイスのこだわりはフェルトそのもの。アートでは素材も重要な要素であることがよくわかる。