ダヴィンチ?の‘アンギアーリの戦い’(16世紀 ウフィツィ美)
今日の新聞報道によると、来年5月、八王子にある東京富士美でダヴィンチの未完の壁画‘アンギアーリの戦い’の下絵?が公開されるという。ビッグニュースというにはおおげさだが、関心はおおいにある。
ダヴィンチ物語でミケランジェロと競作した戦争画の話は欠かせないワンピース。美術本によく載っているダヴィンチの‘アンギアーリの戦い’とミケランジェロが描いた‘カッシナの戦い’、どちらも作品そのものはない。あるのはその下絵と模写。
下絵はちょっとややこしい。‘アンギアーリの戦い’の下絵を描いたのはダヴィンチ本人なのか、それともほかの人物なのかナゾのまま、このため作者不詳という扱いになっている。それはそれとして、この馬に乗った兵士たちが軍旗を奪いあう場面は臨場感にあふれ迫力満点、だから下絵でもみてみたい気持ちは強い。
記事の中に驚くことがあった。この‘タボラ・ドーリア’と呼ばれる油彩画は2年前まで東京富士美が所有していた(1992年に購入)! 現在は富士美が寄贈したウフィツィ美にある。かなり長い期間八王子にあったのなら、展覧会などでみる機会があったもよさそうだがその情報は聞いたことがない。それとも富士美で公開された?
これまでこの下絵は画集では個人の所蔵となっていた。だから、これは海外のコレクターのもとにありまだ縁のないルーベンスらによる模写(ルーヴル美)と比べれば鑑賞できる可能性はほとんどないと思っていた。
ところが、もとあったところにまた戻ってくる。これは見逃せない。会期は5/26~8/9、ミケランジェロの下絵の模写も同時に展示されるという、期待して開幕を待ちたい。