国宝‘油滴天目’(南宋時代・12~13世紀 大阪市立東洋陶磁美)
‘東山御物の美’(三井記念美 11/24まで)と‘日本国宝展’(東博 12/7まで)を同じ日にみたので、中国と日本でつくられた極上をやきものをたくさんみることができた。素直に嬉しい。
三井記念美の展示室は全部で7つある。入ってすぐの1室と突き当りの2室はやきものとほかに工芸品にあてられている。2室はとびっきりの名品を展示する場所、今回は大阪からやってきた国宝の‘油滴天目’が目を楽しませてくれる。この天目は器全体に無数に広がる銀色の点々はじつに美しい。そして、やきものをはなれて抽象絵画をみているような気分にもなる。
茶入は4点、この美術館自慢の‘北野肩衝’(重文)と‘銘遅桜’、もうふたつは初見の大海茶入‘銘打曇大海’と小さなもの。茶入の名品には肩の張ったような形の肩衝が多いが、平茶入で口の広い大海はとても少ないためみる機会がほとんどない。だから、手元の本に載っている‘銘打曇大海’と出会えたのは幸運だった。広がったVの字を思わせるなだれを夢中になってみた。これは大収穫!
茶色やこげ茶の美を感じさせるものがもう一点、どっしりとした丸い形が特別の存在感がもたらしている唐物の茶壺、銘‘夕立’。3度目の対面だが、いつもその丸さ具合に深く魅せられている。
足利将軍家の会所では欠かせない茶道具として飾れていた青磁、根津美からは二つの重文が並んでいた。‘筍花瓶’はお気に入りの一品。大きいので筍のイメージがすごく伝わってくる。5点あった青磁のなかではどうしてもこの花瓶の前にいる時間が長くなる。