‘10の最大物、グループⅣ No.1、幼年期’(1907年)
‘10の最大物、グループⅣ No.7、成人期’(1907年)
‘白鳥、SUWシリーズ、グループⅣ:パート1,No.9’(1915年)
‘白鳥、SUWシリーズ、グループⅣ:パート1,No.17’(1915年)
ミロ展のあと、スウェーデンの女性画家が描いた抽象絵画をみるため竹橋の
東近美をめざした。画家の名前はヒルマ・アフ・クリント(1862~
1944)。スウェーデンは2018年の北欧旅行で首都のストックホルム
を訪問し王宮などの市内観光を楽しんだ。長くいたノーベル博物館ではメダ
ルチョコをお土産に買いこんだ。残念だったのは自由時間を利用して出かけ
る予定だったストックホルム近美が改装工事のため休館だったこと。
情報の少ない国、スウェーデンに抽象絵画のパイオニアともいわれる女性画
家がいたことを知ったのは、‘10の最大物、グループⅣ、No.7、成人期’
が使われている回顧展(3/4~6/15)のチラシが手に入ったとき。
ひと目にて、ガツーンとやられた。おもしろい抽象画だが、誰の作品?まっ
たく縁のない画家だったが、作品自体はずっと頭にこびりついていた。
この絵が展示してある部屋は照明を少し落としてあり、ここに高さ3.2m、
幅2.4mの大作が10点ぐるっとまわってみるように飾られており、幼年
期、青年期、成人期、老年期と展開していく。
‘幼年期のNo.1’も思わず足がとまった。上でユリとバラの輪がコラボし
真ん中の黄色の小麦に結び付けられる。抽象画なんだけれど、そんな感じが
せず、いかにも女性の感性から生まれた優しい造形と優美な色合いが目に
心地いい。円や楕円形が多く出てくる作風はこれまで知っている抽象画家で
いうと、ボヘミアで生まれたクプカ(1871~1957)が思い浮かんだ。
‘白鳥、SUWシリーズ’も惹きこまれる。白鳥と黒鳥の具象画からはじまり、真ん中あたりのNo.9はクプカの大宇宙を連想させるフォルムが目に突き刺さり、終わりに近づくと抽象画全開のNo.17が登場する。この抽象美はスゴイ!。そして、‘祭壇画、グループⅩ、No.1’は古代インカやマヤの絵をみているよう。また、クレーにもこんな絵があった。これほど新鮮な傑作抽象画に遭遇するとは思ってもみなかった。会場ではどこも写真撮影OKなので、たくさん撮った。そして、ここもミロ展同様、大勢の外国人。注目されている画家だから、喜び勇んで来たのだろう。2018年から19年にかけてNYのグッゲンハイム美で開催された回顧展に同館記録の60万人が訪れたのは即、納得である。関心のある方は是非!