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Clik here to view. ダヴィンチの‘岩窟の聖母’(1483~86年 ルーヴル美)
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Clik here to view. ミケランジェロの‘ピエタ’(1499年 サン・ピエトロ大聖堂)
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Clik here to view. ティツィアーノの‘聖母被昇天’(1516~18年 サンタ・マリア・デイ・フラーリ聖堂)
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エル・グレコの‘無原罪の御宿り’(1607~13年 サンタ・クルス美)
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Clik here to view. ムリーリョの‘無原罪の御宿り’(1678年頃 プラド美)
西洋美術をみていて心がもっとも穏やかになるのは聖母マリアが描かれた絵画や彫刻かもしれない。だから、海外の美術館に足を運んで傑作に出会うとその感動が長く記憶に残る。そのセレクションは迷うことなくすぐ決まる。もし、どれかひとつ差し上げると言われたら、サイコロを振って頂くことにする。どれが手に入っても天にも昇るような気分になる。
ルーヴルにあるダ・ヴィンチ(1452~1519)で絵の前に何時間でもいたくなるのが‘モナ・リザ’と‘岩窟の聖母’。‘岩窟の聖母’でとても惹かれるのが聖母のやさしい顔とカールする髪の毛のびっくりするほど精緻な質感描写。その宗教画ぽくない人物表現に親近感をおぼえる。同じ感情をもつのがミケランジェロ(1475~1564)の‘ピエタ’。聖母が若すぎるのではと言われて、ミケランジェロは‘汚れのない聖なる処女は常にみずみずしいのです’と答えている。
ヴェネツィアで美術館と聖堂をまわったとき、‘最高の瞬間’を体験するすごい絵に出会った。それはサンタ・マリア・デイ・フラーリ聖堂の祭壇に描かれていたツィティアーノ(1485~1576)の‘聖母被昇天’。金色の光を浴びて昇天する聖母の姿を息を呑んで眺めていた。深紅のガウンを着ている聖母がファッション雑誌から飛び出てきたような美形の女性なので、宗教画をみている気がしない。
スペインですばらしい‘無原罪の御宿り’を描いた画家が二人いる。エル・グレコ(1541~1614)とムリーリョ(1617~1682)。2013年に東京都美でワールドクラスの大エル・グレコ展が開催され、なんとトレドのサンタ・クルス美に飾ってある‘無原罪の御宿り’が披露された。トレドは2度でかけたのにこの美術館に縁がなかったので、本当に有難い展示だった。無原罪懐胎(聖母マリアはその母の胎内にあったときに原罪を免れているとした説)を題材としたムリーリョの作は20点を数えるが、プラドはその4点を所蔵しており、この絵が一番良く知られている。これでムリーリョに開眼した。