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Clik here to view. ボスの‘快楽の園 地上の楽園(左翼パネル)’(1503年 プラド美)
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Clik here to view. デューラーの‘アダムとイヴ’(1507年 プラド美)
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Clik here to view. パオロの‘天地創造と楽園追放’(1445年 メトロポリタン美)
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Clik here to view. マザッチョの‘楽園追放’(1427年頃 ブランカッチ礼拝堂)
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Clik here to view. シャガールの‘楽園を追われたアダムとイヴ’(1961年 シャガール美)
旧約聖書の最初にでてくる‘創世記’の話は美術鑑賞が趣味でない人でも宗教の教養としてインプットされているし、ローマ観光をすればヴァチカンへ行きミケランジェロが描いた有名な天井画‘天地創造’をみて誰もが感動する。そして、世界はどうやってできたのか、人間や生き物はどのようにして地上に生まれてきたのか、おおよそ頭の中に入る。
エデンの園は一体どんな所だったのか。画家の想像力は多彩に膨らみ、たとえば、ボス(1450~1516)の描く楽園ではアダムとイヴはとんでもなくシュールで怪奇的な生き物や花々、果物、草木に囲まれて平和な生活を送っている。そのため、デューラー(1471~1528)はお花畑の住人、アダムとイヴを当然のように美男美女に描いた。
ところが、突然破局が訪れる。美女のイヴは蛇の誘惑に無邪気にのり、禁断の木の実を食べてしまった。こうなると神は厳しい罰を与えざるをえない。‘アダムとイヴよ、楽園を出て行きなさい!’。二人は楽園を追放された上にイヴは出産の苦しみと夫に生涯尽くすことを運命づけられ、アダムは労働の苦役を課せられた。シエナの画家、ジョヴァンニ・ディ・パオロ(1400~1482)の板絵には左に神が新しく創造した天地が描かれ、右の方ではアダムとイヴが地上の楽園から天使によって追放されている。
二人の悲しみと苦しみが胸を突き刺さる感じなのがマザッチョ(1401~1428)の描く作品。フィレンツェのサンタ・マリア・カルミナ聖堂でお目にかかったとき、イヴの深い嘆きの表情があまりに真に迫っているので立ち尽くしてみていた。一方、ユダヤ人のシャガールが晩年に描いた連作‘聖書の言葉’で表現した‘楽園を追われたアダムとイヴ’は赤い鳥が一緒におり、すこし希望がみえる。