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Channel: いづつやの文化記号
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聖書から生まれた傑作アート! マグダラのマリア

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Img_20250115233101   ティツィアーノの‘マグダラのマリア’(1533年頃 ピッティ美)

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ラ・トゥールの‘灯火の前のマグダラのマリア’(17世紀 ルーヴル美)

Img_0002_20250115233101   エル・グレコの‘悔悛するマグダラのマリア’(1577年頃 ウースター美)

Img_0003_20250115233101   カラヴァッジョの‘法悦のマグダラのマリア’(1606年)

Img_0004_20250115233101   ドナテッロの‘マグダラのマリア’(1454年頃 フィレンツ・ドゥオーモ付属美)

若い頃、スイスのジュネーヴに住んでいて休暇を利用してイタリアのフィレ
ンツを旅行した。当時はまだ美術への関心は普通の観光客並みで、ガイドブ
ックに必見の名所として載っているウフィッツィ美へでかけボッテイチェリ
の‘ヴィーナスの誕生’に感激したのは、ルーヴルでダ・ヴィンチの‘モナ・
リザ’をみて大騒ぎするようなものだった。

ウフィッツィ同様、観光の目玉として有名なのが巨大聖堂ドゥオーモ。その美しいフォルムを目に焼き付けたあと、聖堂の裏側にある付属の美術館にも寄ってみた。そこにショッキングな木彫像があった。それは高く評価されていたドナテッロ(1386~1466)が仕上げた老いたマグダラのマリア。伸び放題の髪の毛が衝撃的だったので、強烈に印象づけられた。マグダラのマリアのことはまったく知らなかったので、そのときは中国の仙人のように思えた。マグダラのマリアのイメージはこの鑑賞体験によって植えつけられた。

この身の毛がよだつような凄味は長い期間をかけて消えていくことになるのだが、それは絶世の美女として表現されたマグダラのマリアに遭遇する機会が増えてきたから。たとえば、ティツィアーノ(1485~1576)、ラ・トゥール(1593~1652)の作品はその極め付きだが、スーパーモデルとか映画女優並みの美貌なので近づきがたい感じ。これに対し、エル・グレコ(1541~1614)の‘悔悛するマグダラのマリア’は明るくとてもチャーミングな女性として描かれている。

誰もがぼーっとみてしまう美女というより男を誘惑するファムファタルを連想させるのがカラヴァッジョ(1571~1610)の‘法悦のマグダラのマリア’。これは2016年西洋美で開催されたワールドクラスの回顧展に出品されたものだが、2001年岡崎市美であった最初の回顧展でも似たような官能的なマリアの姿を体験した。


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