‘赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー’(1923年 パウル・クレー・センター)
‘天使というよりむしろ鳥’(1939年 パウル・クレー・センター)
先日、詩人の谷川俊太郎さんが92歳で老衰のためで亡くなったことをSNS
で知ったとき、すぐ頭に浮かんだのがクレー(1879~1940)。谷川さ
んはクレーが大好きだったことがわかったのは2005年大丸東京店で開催さ
れた回顧展を楽しんだ後、ミュージアムショックで手に入れた図録にクレーの
絵にそえられた詩が載っていたから。
詩がつくられたのはクレーの‘天使シリーズ’の3点、そのひとつが‘天使というよりむしろ鳥’
なんでもしっているおとななのか むじゃきなこどもなのか
つばさはどろだらけで
きのうモーツァルトのソナタの すみっこにいた
きょうゆうやけぐものうえに ちょこんとこしかけていた
おんなでもおとこでもないにおい
としおいたきのねんりんにまぎれ こいぬのひとみにひそみ
かくれんぼしていた あのてんし
谷川さんが気づかせてくれたとつい思ってしまうクレーの回顧展が来年早々行われる。愛知県美が主催する‘パウル・クレー展 創造をめぐる星座’(1/18~3/16)。ここでクレー展が行われるのは名古屋で仕事をしていたとき運よくめぐりあった1993年の大回顧展以来かもしれない。スイスベルンにあるパウル・クレー・センター(2005年6月開館)の所蔵する作品を中心にして構成される。HPにでている作品(1点のみ)‘赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー’は過去4回でかけた回顧展では縁がなかった。まだ、こんないい絵が残っていたのか!という感じ。この一枚からしても十分期待できそう。