三浦小平二の‘青磁飾り壺 牧童’(1990年 ギメ東洋美)
‘青磁飾り筒 馬’(1992年)
やきもののことを知るにはTVの陶芸番組をみるのは一番手っ取り早い。
絵画をとりあげるときと違って成形、絵付け、焼成の行程をみせてくれるの
で作品がどういう風にして出来上がるかイメージできる。だから、やきも
のが好きになったとき、NHKの番組を欠かさずみていた。そこに登場した
陶芸家でよく覚えているのが何人かおり、佐賀県有田町(当時)に生まれた
井上萬二さん(1929~)もそのひとり。今年95歳。正確ではないかも
しれないが、元気であれば現役を続けておられるはず。
萬二さんは白磁の人間国宝。白磁は加飾しないから形の美が満足の決め手に
なる。丸形の壺が轆轤によって見事に出来上がるのをみて本当にスゴイなと
思った。長年の轆轤の修練によってこんなすばらしい丸い壺が誕生するのか!
まだお目にかかってない‘白磁丸形壺’にいつか遭遇したい。唐草模様を柔らか
く彫った‘青白磁彫文鉢’を所蔵しているのは東博なのだが、これまでやきもの
展示室で出会ったことがない。これは現代の陶芸作品を並べるより、伝統的
な茶陶などを定期的に披露するほうが優先されるため。
となると、萬二さんの回顧展にめぐりあうのを待つほかない。見落としたか
もしれないが、残念なことに日本橋の高島屋や三越で開催されることがなか
った。これまで出品作に縁があったのは人間国宝展とか大陶芸展。そのため、
数が少ない。いつか回顧展が開かれ心に響く‘白磁緑釉彫文花瓶’とも出会うこ
とを夢見ている。
三浦小平二(1933~2006)の回顧展は運よく日本橋三越で2006年に行われたのをみることができた。5/30の開幕初日にでかけたが小平二さんは体調がよくないようで車椅子で対応をされていた。それから4ヶ月後に亡くなられた。享年73。そんな年にたくさんの青磁の名品が出品された回顧展に出会ったのは幸運なことであった。絶品の青磁が数多く出品されたから、思いの丈は十分叶えられたが、プラスαとして‘青磁飾り壺 牧童’と‘青磁飾り筒 馬’を加えたい。