‘大運河とサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂’(1908年)
昨日とりあげたカナレット展にモネ(1840~1926)が1908年に
旅行したヴェネツィアの景観を描いた‘ダーリオ宮’が展示されているのをみて、
今年はつくづくモネの当たり年だなと思った。ウェールズ国立美が所蔵する
この絵は約30点制作された運河の風景画のひとつで、手元の美術本に載って
ないので収穫の一枚となった。
日本にもヴェネツィアのいい絵がある。モネの回顧展があるときは定番のピー
スのように登場する‘黄昏、ヴェネツィア’。これをブリジストン美(現アーテ
ィゾン美)でみたとき、日本のコレクターたちのモネの作品に対する思い入れ
の強さのお陰でこうしてモネを楽しめる。流石、印象派に強いブリジストン美
である、と感心した。
2010年パリのグラン・パレで行われた大モネ展に遭遇したのは生涯の喜び。
モネの人気は絶大で2時間並んでやっと入館できた。そのとき出品されたヴェ
ネツィアの作品は5点並んでいた。その2点がNYのブルックリン美蔵の‘ドカー
レ宮’とスイスのザンクト=ガレン美にある‘コンタリーニ宮’。後者については
もう一点これもスイスのコレクターが所蔵する作品がでていた。
モネが描いたヴェネツィア運河のなかでもっとも惹かれているのが‘大運河と
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂’。これは個人蔵だが、運がいいこと
に日本で開催されたモネ展で出会った。グラン・パレの大回顧展にも似たよう
な構図で聖堂が描かれたもの(サンフランシスコ美蔵)がでていたが、完成度
はこちらのほうがぐんといい。