カナレットの‘昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ’(1760年 ダリッジ美)
‘カナル・グランデのレガッタ’(1730~39年頃 ボウズ美)
‘サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ’(1730年以降 スコットランド国立美)
シニャックの‘ヴェニス、サルーテ教会’(1908年 宮崎県美)
今年行われる西洋美術関連の特別展で注目していた‘カナレットとヴェネツィ
アの輝き’(10/12~12/28)をみるため新宿のSOMPO美に足を運んだ
。カナレット(1697~1768)は18世紀のヴェネツィアが生んだ最
大の風景画家であるが、その絵をみる機会はあまりない。カナレットと同じ
ヴェネツィア生まれのグアルディ(1712~1793)を知ったのはルー
ブル、そのあと地元ヴェネツィアにあるアカデミア美で二人の絵をみるには
みたが、どいうわけかあまり感激しなかった。
カナレットの絵に大変魅せられたのはロンドンのナショナルギャラリー。
ヴェネツィアで知られた観光名所、カナル・グランデ、ドカーレ宮殿、サン
マルコ広場の時計塔などじっとみているだけで楽しくなる大画面の作品が
ずらずらっと飾られていた。どうして、傑作の数々がヴェネツィアのブラン
ド美術館ではなくここにあるのか?これにはちゃんと理由があり、カナレッ
トのパトロンは主にイギリス人で作品の多くはイギリスの王室コレクショ
ンとなっているから。
この鑑賞体験からSOMPO美にスコットランド国立美蔵などのコレクション
がやってくることがわかり、開幕を待ち望んでいた。果たして、期待通り
ヴェネツィアの活気のある都市景観が華やかな昇天祭やレガッタなどとと
もに描かれたすばらしい絵がドーンと並んでいた。ずっと見ていたくなる
のが‘昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ’と‘カナル・グランデのレガッタ’、
そして、人物が多く描きこまれているのに静謐な感じがする‘サン・ヴィオ
広場からみたカナル・グランデ’も長くみていた。東京富士美から出品され
た‘サンマルコ広場’ははじめてお目にかかったが、現地にいるような気分に
なった。
カナレットのあとも、ヴェネツィアは絵心を刺激された画家たちによって
たくさん描かれた。思わず足が止まったのがシニャックの点描法による‘ヴ
ェニス、サルーテ教会’、ほかにもホイッスラー、モネにも惹かれた。カナ
レットの傑作が日本でみれるのは‘一大事件!’、是非お出かけ下さい。