ヤン・ファン・エイクの‘ルッカの聖母子’(1435年 シュテーデル美)
‘ボードワン・ド・ラノワの肖像’(1436~38年 ベルリン国立絵画館)
ホルバイン(子)の‘商人ゲオルク・ギーゼ’(1532年 ベルリン国立絵画館)
‘家族の肖像’(1528年 バーゼル美)
イタリアやフランスにある美術館にくらべると訪問の回数がぐんと落ちるの
がドイツ。そのため、追っかけ絵画のリストをつくるとドイツの美術館にあ
るものが多くなる。訪問の優先度をつけると1位がベルリン国立絵画館、
これにミュンヘンのノイエ・ピナコテーク、フランクフルトのシュテーデル
美が続く。
ベルリンは一度出かけたことがあるが、国立絵画館にはまだ縁がない。ここ
にはビッグネームの傑作がたくさんある。そのひとりがヤン・ファン・エイ
ク(1390~1441)。この画家の美術本(たとえば小学館の‘西洋絵画
の巨匠’)に載っている作品は23点しかない。これまで運よくお目にかかれ
たのは16点。コンプリートに残り7点となった。そのうちベルリンの
絵画館が教会の聖母子’と肖像画‘ボードワン・ド・ラノワ’、‘アルフィルフィ
ーニ’の3点を所蔵している。これにシュテーデル美にある‘ルッカの聖母子’が
加われば、ヤン・ファン・エイクは‘済みマーク’がつけられる。
ルーヴルの‘ロランの聖母子’でファン・エイクとのつきあいがはじまったが、
最初はそれほどのめり込まなかった。ところが、ベルギーで‘ヘントの祭壇画’を
みて、この画家の見方ががらっと変わった。ファン・エイクは別格扱いの
大画家になった!そして、有名な絵を全部みようと思った。そのモチーフ
の精緻な描写を一度みたら、もう虜になる。
ヤン・ファン・エイクの超リアリズムを彷彿とさせる画家がもうひとりいる。ホルバインの子どものほう(1497/98~1543)。みたくてしょうがないのがベルリンの絵画館にある‘商人ゲオルク・ギーゼ’。金属製の容器や金貨、花を活けているガラス瓶の徹底した細密描写に目が点になる。それらについ触りたくなりそう。バーゼル美蔵の画家の妻と子を描いた‘家族の肖像’は生身の人間がすぐ近くにいる感じ。