‘雪中の東方三の博士の礼拝’(1567年 オスカー・ラインハルト・コレクション)
‘ベツレヘムの嬰児虐殺‘(1565~67年 英国王室コレクション)
2017年、ブリューゲル(1525~1569)好きにとってはたまらな
い大展覧会があった。なんとオランダのボイマンス美が所蔵する‘バベルの塔’
が日本にやって来たのである。日本でブリューゲルの絵がみれるのは滅多に
ないことだから、この展示はまさに‘事件’といっていい。ウィーンの美術史美
が誇るブリューゲルコレクションとの遭遇をきっかけに、画集に載っている
作品をコンプリートしようとヨーロッパを旅するたびにやりくりして、お目
当ての作品を追っかけてきた。運にも恵まれて鑑賞ができ‘済みマーク’をつけ
るときはなんだか大きな仕事をしたような気分になる。
好きな画家はとことんこだわりたい。だから、名画追っかけのための海外旅
行を再開する時期を具体的に検討するステージに入りつつある。ブリューゲ
ルの場合、もっともみたいのは‘ネーデルランドのことわざ’だが、ベルリンは
一度出かけたことがあるので優先順位は少し後になる。わが家の旅行計画は
アメリカ西海岸とアンテロープキャニオンがまずあって、その次がスイス美
術館巡りとなっている。スイスではチューリヒの近くにあるヴィンタートゥ
ールへ行きオスカー・ラインハルト・コレクションへでかけるのが大きな楽
しみ。その目玉の絵がブリューゲルの‘雪中の東方三博士の礼拝’とゴッホ。
チューリヒに滞在する予定なのでドイツのミュンヘンへ飛行機で行くという
オプションも可能。若い頃住んでいたスイスのジュネーブからクルマでミュン
ヘンに行き、アルテ‣ピナコテークではデューラーやルーベンスの傑作を堪能
した。そのため、ここにあるブリューゲルの‘怠け者の天国’をみたという実感
がない。再訪はそのリカバリーをはたすのが目的。さらにベルリンまで飛び、
‘ネーデルランドのことわざ’まで一気にみてしまうというのもありうる。
英国王室コレクションについては気になっているが、展示の情報にふれること
がなく作品との距離が遠くに感じられる。頭にあるのは、ブリューゲルの
‘ベツレヘムの嬰児虐殺’とカラヴァッジョとフェルメールの絵。日本の美術館
が動いてくれてどれか一点でも日本で公開してくれると嬉しいのだが、、
デトロイト美にある‘農民の婚礼の踊り’も鑑賞意欲を強く刺激する。