‘やまと絵’展をみる前に本館の特別5室で本日まで開かれていた‘京都・南山城
の仏像’をのぞいてみた。この特別展の情報を得たとき、‘南山城’ってどこ?と
戸惑った。図録に地図が載っており、京都府の最南部を南山城(みなみやま
しろ)と呼ぶらしい。京博にはよくでかけており、近鉄京都線に乗って奈良ま
で足をのばすことがあるが、大阪、京都、奈良の道路や街の所在地については
立体的な空間配置がほとんど頭のなかに入っていない。
だから、以前からいつか訪問しようと思っていた国宝の三重塔や阿弥陀如来坐
像で有名な‘浄瑠璃寺’がどこにあるのかがこの特別展をみたことでクリアになっ
たのは仏像の鑑賞と共に大きな収穫だった。今回出品された仏像は修理が完成
した九体阿弥陀のうちの一体と同じく国宝の広目天立像・多聞天立像(四天王
のうち)、そして‘地獄菩薩立像’も一緒にやって来た。浄瑠璃寺を半分くらい
体験したような気分である。
浄瑠璃寺から北へ6kmくらい行ったところにある海住山寺蔵の‘十一面観音菩
薩立像’はこぶりだが、とても惹かれる十一面観音。これまでどこかの展覧会で
お目にかかった記憶があるからすっと体が寄っていった。海住山寺にも鎌倉時
代初期に建てられた国宝の五重塔があるから、いつか訪ねてみたい。
寿宝寺は地図によると奈良へのはしごで利用する近鉄線の三山木駅のすぐ近く
にある。ここに飾られている‘千手観音菩薩立像’に大変魅了され、長くみていた。
千手観音とは数多く対面してきたが、美しいお顔と千手の端正で動きを感じさせ
るフォルムにいっぺんに惹きつけられた。この先、京都から奈良をめざすとき、
三山木駅に近づくとこの千手観音を思い出しそう。