Quantcast
Channel: いづつやの文化記号
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4055

美術で‘最高の瞬間‘! 加藤唐九郎

$
0
0

Img_0003_20230923223901
    ‘志野茶盌 銘 氷柱’(1930年 翠松園陶芸記念館)

Img_0004_20230923224001
    ‘志野茶盌’(20世紀 川端康成記念館)

Img_0001_20230923224001
    ‘黒織部茶盌 銘 古株’(1966年)

Img_20230923224001
    ‘黄瀬戸輪花鉢’(1958年 愛知県陶磁資料館)

Img_0005_20230923224001
    ‘花生(華炎より)’(1968年 財団法人小原流)

ホテルオークラのすぐ近くにある菊池寛実記念 智美術館は質の高いやきもの
展を開催してくれるのでこれまで何度も足を運んだ。たどり着くまできつい
坂があってアクセスがしんどい分、大きな満足がえられることが多い。
2008年に行われた‘加藤唐九郎・重高・高宏 窯ぐれ三代展’は期待にた
がわぬ一級の特別展で強く記憶に残っている。

加藤唐九郎(1898~1985 瀬戸市の生まれ)は桃山時代の陶の復興を
生涯にわたって追求した有名な陶芸家であることはやきものの本などでインプ
ットされていたが、ようやく回顧展にめぐりあい作陶の一部をみることができ
た。‘志野茶盌 銘 氷柱’は32歳のときの作品で近代茶の湯の数寄者、益田鈍翁
の目にとまり‘氷柱’と命名された。現在は唐九郎の窯場と住居に隣接する
翠松園陶芸記念館(名古屋市守山区)が所蔵している。名古屋に住んでいたこ
ともあるのに、その頃はここを訪問するほどやきものに詳しくなかった。鎌倉
の川端康成記念館にある‘志野茶盌’にも大変魅了されている。

‘黒織部茶盌 銘 古株‘は根津美や五島美で開かれる茶陶展に出品された織部の名
品をながめている感じ。沓形の器形や釉薬を掛け残して素地をだしてみせる景
色が目を楽しませてくれる。そして、‘黄瀬戸輪花鉢’の名品ぶりにも驚かされる。
桃山時代の釉調、文様がそのまま蘇ったようで本当にスゴイ黄瀬戸である。

‘花生(華炎より)’は華道小原流とのコラボレーションによるインスタレーショ
ン。唐九郎の得意とした織部の技法で現代感覚の華道とやきものの響きあいが
実現されている。織部の前衛的な文様はこういうコラボが一番冴えるかもしれ
ない。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4055

Trending Articles