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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 鈴木藏 中里無庵

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    鈴木藏の‘志埜茶盌’(2005年)

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    ‘志埜茶盌’(2006年 菊池寛実記念 智美術館)

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    ‘志埜花器 流旅転生ノ内’(1985年)

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    中里無庵の‘叩黄唐津壺’(1967年 東近美)

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     ‘朝鮮唐津耳付水指’(1975年)

志野の人間国宝に認定されているのは2人いる。志野の窯跡を発見・再興し
た荒川豊蔵と岐阜県の土岐市出身の鈴木藏(すずきおさむ 1934~)。
志野が大好きなので鈴木藏の回顧展は見逃さないようにしていたが、これま
で2回縁があった。広島にいたとき遭遇した回顧展(2003年 天満屋
福山店)とその7年後の2010年に菊池寛実記念 智美術館で開かれた
‘流旅転生 鈴木藏の志野’。

ほかには人間国宝展でもよく登場するので作品の数がだいぶ増えてきた。
2005年の作品‘志埜茶盌’は釉薬のやわらかな淡雪がとても心地よく所々
にみられる緋色が志野の魅力をいっそう引き立てている。翌年つくられた
茶碗は優美さのなかに力強さが秘められた焼け焦げた黒の点がみられ、桃山
にない新味がひときわ目立っている。

鈴木の志野でもっとも驚いたのはオブジェが現れたこと。それが茶の湯の雰
囲気を現代的に深めた‘志埜花器 流旅転生ノ内’。これは3点セットのひとつ。
角々したフォルムは緊張感にあふれ、志野が現代の空気にあわせて進化しあ
らたな姿に変容したという感じ。つくられたのは1985年だから鈴木藏の
感性の鋭さが反映されている。

中里無庵(1895~1985)は古唐津の技法を復活させ唐津焼の窯の隆
盛をもたらしたレジェンド陶芸家。東近美にある‘叩黄唐津壺’はたたきの技法
でつくられた優品。淡黄褐色の色合いや壺の形は古唐津にタイムスリップし
たよう。すばらしい!‘朝鮮唐津耳付水指’も息を呑んでみるほどの存在感に圧
倒される。素朴で逞しい作風がこうして生まれたきたことがスゴイ。    


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