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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 高村光雲 高村光太郎

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   高村光雲の‘老猿’(重文 1893年 東博)

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     ‘矮鶏置物’(1889年 三の丸尚蔵館)

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   高村光太郎の‘手’(1918年 東近美)

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     ‘鯰’(1926年 東近美)

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     ‘柘榴’(1924年)

展覧会をみたときの感動を長く心にとどめておくために、見終わった後図録
を購入するのがいつものルーティン。そのため、図録を保管するスペースの
確保するのが大きな課題になっている。部屋の大きさは変わらないので、ど
うしても図録の数を整理や統合によって少なくする必要に迫られる。そのや
りくりをしていると、同時に真に残す価値のある立派な図録も浮かび上がっ
てくる。2007年東近美で開催された‘日本彫刻の近代’展の図録もその
ひとつ。

東博で定期的に展示される高村光雲(1852~1934)の‘老猿’はみるた
びに心を奪われる木彫の傑作。見どころはなんといっても超絶技巧ともいえ
る克明に表現された猿の毛並み。頭から足の先まで毛全体が波打つような感
じ。だから、猿ってこんな毛並みしていた?と思うこともある。
三の丸尚蔵館にある‘矮鶏置物’は老猿同様、矮鶏(ちゃぼ)が目の前にいるよ
うな写実性が目に焼きついている。細密に描写された羽根や体温を感じさせ
る胸まわりに視線が集中する。

光雲の長男、高村光太郎(1883~1956)の作品は東近美に何度も足
を運んだから、いまではとても馴染み深いものになっている。その最たるも
のがブロンズの‘手’。自分の手を繁々みることはないが、この手はハッとする
ほどきれいな手をしている。こんな風に指をちょっと反り返らせるから美し
くみえるのだろうか。手にこんなインパクトを与えられることがスゴイ。

木彫の‘鯰’はお気に入りの作品。鯰をモチーフに選ぶの?というのが頭の端に
あるが、いやいやどうしてこれはじつに鯰らしい。光太郎は直感的にいい
作品になると感じたにちがいない。‘柘榴’のも思わず足がとまる。小さい頃
、すっぱい柘榴をよく食べた思い出がある。この角々した赤い実の質感描写
が見事。本物そっくり。


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