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‘班猫’(重文 1924年 山種美)
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‘蹴合’(1929年 大倉集古館)
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‘海幸’(1936年頃 MOA美)
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‘大獅子図’(1902年頃 藤田美)
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‘おぼろ月’(1928年 京近美)
2013年、東近美で京都画壇の中心的存在だった竹内栖鳳(1864
~1924)の大回顧展が開催された。それまで熱海のMOAや島根県安來の
足立美などで少ない数ではあるが動物画や魚の絵をみたことはあるが、回顧
展に出会ったのはこの1回だけ。だから、傑作がずらっと結集したこの決定
版ともいえる竹内栖鳳展を存分に楽しんだ。
生き物の絵を得意とし栖鳳のもっともスゴイ絵が‘班猫’、これは猫好きには
たまらないディテール描写が随所にみられる。白、黒、茶褐色のまだら模様
の猫が顔をアクロバティックにこちらにまげて青緑の目でじっとみている。
この宝石のように輝く青緑のリアルな質感描写に200%驚かされる。そし
て、一本々丁寧に描かれた毛並みはふさふさとやわらかそう、猫の体温が伝
わってくるような繊細な表現に目が点になる。この猫をみてしまうと、おお
げさにいうとほかの猫がみれなくなるというのが正直な感想。
大倉集古館が所蔵する‘蹴合’は軍鶏(しゃも)の闘鶏が描かれている。小さ
い頃みた機敏に体を激しく動かす軍鶏の姿がよみがえってくる感じ。鶏のな
かでもとりわけ気性が荒い軍鶏の特徴が見事にとらえられている。1930
年、ローマ日本美術展に出品されたこの絵をみたイタリア人たちはびっくり
仰天したにちがいない。MOAによくでかけていた頃、竹内栖鳳という画家
のイメージが徐々につくられていった。この美術館では雀、鶏の親子などと
遭遇したが、一番のサプライズが真鯛。‘海幸’はまるで魚の匂いがつたわって
くるような写実表現である。栖鳳の実家は京都の日本料理屋だから幼いころ
から魚をよくみていたことも関係しているかもしれない。
大回顧展で大勢の人たちが食い入るように眺めていたのがライオンの絵。
全部で5点、とくにいいのが藤田美蔵の‘大獅子図’、動物園にいるライオンや
MGM映画の最初に出てくるライオンそのもの。構図の良さが目を惹くのが
‘おぼろ月’。背中をこちらにむけて月をみている狐の姿がじつにいい。