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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間‘! 小川芋銭 平福百穂

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   小川芋銭の‘狐隊行’(1930年 茨城県近美)

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    ‘夕風’(1924年 五島美)

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    ‘春日遅々’(1934年 茨城県近美)

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   平福百穂の‘堅田の一休’(1929年 東近美)

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      ‘玉柏’(1928年 三の丸尚蔵館)

日本画家を覚えるきっかけとなるのが出身地の情報。展覧会にでかけ図録を
手に入れるとそこには出品した画家についての簡単なプロフィールが記され
ている。こういうのを何度も目にしていると画家たちの出生地の地図がだん
だんできてくる。これがすぐ画風の理解に役立つわけではないが、画家との
距離が少しずつ縮まるという効果はたしかにある。

茨城県で生まれた画家というとすぐ思い浮かぶのは横山大観。これはすぐ
インプットされた。そのあと知ったのは大観と同い年で牛久で農業のかたわ
ら絵を描いた小川芋銭(おがわうせん 1868~1938)。回顧展には
これまでどういうわけか一回も遭遇してないが、茨城県近美に足を運ぶ
と‘狐隊行’や‘春日遅々’などにお目にかかれる。河童や狐などが登場する妖怪
チックでユーモラスな絵はとても魅力がある。この南画風の表現はどこか
池大雅と通じており、子どもや釣り人を描いた‘春日遅々’は大雅を意識した
にちがいない。

芋銭の最高傑作といわれる‘夕風’をみたのは所蔵している五島美ではなく、
横浜を離れ広島に滞在していたとき。岡山県美で五島美の日本画コレクショ
ン展が開かれ自慢の傑作が披露された。驚いたのは風の描写、強風なのか手
前のとうもろこしの葉が左右に大きく揺れ、その向こうには祇園の馬が懸命
に走る姿がみえる。心が和む風俗画の傑作である。

秋田県角館に四条派の画家の子として生まれた平福百穂(ひらふくひゃく
すい 1877~1933)は名前の読み方がすっとでてくるのに時間がか
かった。作品の数はまだ両手もいかなほど少ない。一番馴染んでいるのは
東近美にある‘堅田の一休’。はじめは軽くみていたが、平常展で目が慣れてく
ると人物描写が心にじわじわ沁みてくるようになった。そして、評価を一気
に上げることになったのが三の丸尚蔵館でみた‘玉柏’。緑色がこれほどずしん
とくる花鳥画はそうそうない。左隻(下)の渓流にそって描かれた岩々と竹
の空間構成が見事。


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