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Channel: いづつやの文化記号
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美術で‘最高の瞬間’! ミューズに愛された抽象絵画

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  フォンタナの‘空間概念 期待’(1961年 東近美)

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  ヴァザルリの‘夢’(1966年 ポンピドーセンター)

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  堂本尚郎の‘宇宙Ⅰ’(1978年 森英恵ファッション文化財団)

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  フランシスの‘無題’(1959年 出光美)

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  ザオ・ウ―キーの‘07.06.85’(1986年 アーテイゾン美)

20世紀に入ると新しい絵画表現が続々登場してくる。キュビスム、フォー
ヴィスム、ダダイズム、シュルレアリスム、表現主義、抽象絵画、抽象表現
主義、ミニマリズム、ポップアート、、こうした描き方の新機軸のほかに
カンヴァスにも新しいことを行った画家がいる。ルーチョ・フォンタナ
(1898~1968)はカンヴァスを刃物で切り裂くという誰も考えなか
ったことを思いついた。‘空間概念 期待’は図版で見る限りこのカットされた
ところ(黒の線)はわからない。大原美で切り裂かれたカンヴァスを横から
眺めたときは大きなショックを受けた。こんな発想をする画家がいたとは!
いっぺんにフォンタナの名前を覚えた。

ヴァザルリ(1908~1997)の‘夢’は錯視アートのさきがけみたいな
もの。正方形の画面にリズミカルに描かれた小さな丸や四角形の連続をじっ
とみていると真ん中あたりがへこんでくるような錯覚を覚えてくる。正方形
がこの錯視効果に貢献している。堂本尚郎(1928~2013)の‘宇宙Ⅰ’
はつい最近亡くなられた森英恵さんの財団が所有しているもの。これを
2005年、世田谷美で開催された回顧展でみたときは抽象絵画はこんな美
しい姿に洗練されるのか、と感心してみていた。ミューズもきっと微笑んで
いるにちがいない。

サム・フランシス(1923~1994)はお気に入りの画家。東京都現美
で大作をみて200%KOされた。この画家は出光美と関係があり出光にも
作品がある。でも、どういうわけかお目にかかったのは‘無題’の1点だけ。
水墨画の影響をうけて色彩の処理もにじんだり飛び散ったりしているのがと
てもいい感じ。いつか大回顧展に遭遇することを願っているが、なかなか実
現しない。

今年の3月ア―ティゾン美の所蔵展で再会したザオ・ウ―キー(1921~
2013)の作品は2004年にあった回顧展で遭遇し、大変魅了された。
中国の人だから水墨画は目が慣れており、それを意識した筆さばきはこの
作品にもでている。抽象画と水墨画の融合というこの作家にしかできないこ
とをなしとげ新しい抽象画を生み出した。本当にすばらしい!


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