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ベックマンの‘夜’(1918年 ノルトライン=ヴェストファーレン美)
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グロスの‘社会の柱石’(1926年)
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グロスの‘自殺’(1916年 テートモダン)
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キルヒナーの‘街路、ベルリン’(1913年 MoMA)
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ディクスの‘シルヴィア・フォン・ハルデンの肖像’(1926年 ポンピドー)
今年は久しぶりにドイツの美術館がもっている名画の数々にスポットがあた
っている。西洋美はエッセンのフォルクヴァング美とコラボした‘自然と人の
ダイアローグ’(9/11まで)を企画し、国立新美ではケルンのルートヴィ
ヒ美が所蔵する珠玉のコレクションが再度登場(9/26まで)、そして秋に
なるとベルリンのベルクグリュ―ン・コレクションが西洋美ではじめて披露
される(10/8~1/22)。
ドイツからは2009年にデュッセルドルフにあるノルトライン=ヴェスト
ファーレン美の所蔵品もやってきた。ピカソの絵に魅了されたが、それ以上
に衝撃的だったのがベックマン(1884~1950)の‘夜’。長くみてれら
れないほど残忍な絵。夜盗に襲われた家族の惨状が戯画チックな筆さばきで
リアルに描かれている。ピカソの‘ゲルニカ’に遭遇したときと似たショック
状態に陥った。
グロス(1893~1959)の風刺画も強烈なインパクトがある。第一次
世界大戦の真っ只中に描かれた‘自殺’。これをみたのはロンドンのテートモダ
ン。赤で占められた画面にはピストル自殺をとげた男と首を吊った男が描か
れている。その光景をじっとみているのが右上の娼婦。‘ちょっとみてよ、
旦那さん、首つり自殺したのとピストルをぶちこんだのがいるよ。ぶっそう
な世の中ね!’とかなんとか喋っているのだろうか。‘社会の柱石’は下から上に
視線を動かすと国の重要な役割を担った人物が登場する。ジャーナリスト、
牧師、軍人、、手前のナチス支持の男の頬に細い血管が浮き出ているが、ヨー
ロッパを旅行しているとこういう老人によくでくわす。
表現主義のキルヒナー(1880~1938)の‘街路、ベルリン’は正装姿の
男女を縦に極端に伸ばして描く表現が印象深い。1913年頃の華やかなベル
リンに生きる上流階級の人々の気分がストレートに伝わってくる。ポンピドー
センターでみたディクス(1891~1969)の‘ジャーナリスト、シルヴ
ィア・フォン・ハルデンの肖像’は忘れられない一枚。顔だけに目を集中させ
ると男性と思うが、じつは女性のジャーナリスト。この人物が女性と気づくま
で何年もかかった。