モリゾの‘ジュリー・マネと犬’(1893年 マルモッタン美)
ゴンザレスの‘イタリア人座の桟敷席’(1874年 オルセー美)
ゴンザレスの‘家庭教師と子ども’(1878年 ワシントンナショナルギャラリー)
マネの肖像画のなかにスーパー美人のベルト・モリゾ(1841~1895)
をモデルにしたものが3,4点ある。もっとも惹かれているのが三菱一号館
の開館を記念したマネ展(2010年4月)に出品された‘スミレの花束をつ
けたベルト・モリゾ’。モリゾの美貌が強く印象づけられたが、この女性が印
象派の画家としても活躍したことはオルセーにある‘ゆりかご’をみて知った。
こんな心が和む赤ちゃんの絵を描いていたのか!という感じ。
パリではモネの絵で有名なマルモッタン美でもモリゾがみれる。思わず足が
とまったのが‘舞踏会の若い女’。扇子をもちきりっと前をみつめる眼差しに
すごい力がある。これで画家モリゾが印象派にグルーピングされた。もう一
点‘ジュリー・マネと彼女のグレイファウンド犬ラルト’も目に焼きついている。
モリゾはマネの弟と結婚し、二人の間にできた一人娘がジュリー・マネ。
モネは44歳の若さで亡くなったモリゾの思い出のためにこの絵を購入した。
アメリカの美術館ではワシントンのナショナルギャラリー、フィリップス・
コレクション、シカゴ美、フィラデルフィア美で運よくモリゾに遭遇した。
数が多いのがナショナルギャラリーで4点くらいある。‘ロリアンの港’と日本
で披露された‘麦わら帽子をかぶる若い女性’、‘姉妹’が印象深い。そして、
記憶に新しいところでは2018年の北欧旅行のとき、コペンハーゲンの
ニューカールスベア美で‘髪を編む若い少女’と出会った。
モリゾ同様、マネから絵を学んだエヴァ・ゴンザレス(1849~1883)
もマネのモデルになっている。彼女の絵はほんの片手くらいしか縁がないが、
オルセーにある‘イタリア人座の桟敷席’がとても気に入っている。日本にや
って来た‘家庭教師と子ども’は背景の光の表現がなかなかいい。1883年、
ゴンザレスは出産中に命を落とした。享年34。師匠マネの死からわずか
6日後のことだった。