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Channel: いづつやの文化記号
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Anytime アート・パラダイス! サージェント(1)

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 ‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’(1882年 ボストン美)

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 ‘ヘレン・シアーズ’(1895年 ボストン美)

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 ‘カーネーション、ユリ、ユリ、バラ’(1886年 テート美)

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      ‘ワレン夫人と娘’(1903年 ボストン美)

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 ‘チャールズ・インチェ夫人’(1887年 ボストン美)

今年は新型コロナの感染の影響で美術館へでかける機会がほとんどなかった
が、救いは長年開催を望んでいたコンスタブル展(三菱一号館美)に遭遇し
たこと。求めていた一つのピースが埋まった感じ。となると、次に熱い思い
を叶えてもらいたいビッグな画家が一人いる。その画家はサージェント
(1856~1925)。2014年、横浜美でホイッスラー展があった。
傑作がたくさん出品されたので忘れられない回顧展になったが、同じアメリ
カ人でヨーロッパで画家としての名を上げたホイッスラーにスポットがあた
るのなら、同じような画家人生を送ったサージェントの絵も日本に集結させ
てと強く願った。それから7年経ったが、まだその気配はない。三菱一号館
美とBunkamuraの企画力に期待しているのだが、実現するだろうか。

これまでサージェントの絵をみたのはロンドンのテート美、オルセー、アメ
リカではボストンの市立図書館を飾る壁画をてがけた縁でボストン美に数多
くある。また、メトロポリタン、ワシントンのナショナルギャラリー、コー
コランギャラリー、ハーバード大のフォッグ美、フィラデルフィア美、シカ
ゴ美でもお目にかかった。サージェントは風景画も描いているが、心を打つ
のは子どもの絵と女性の肖像画。ボストン美は2015年に運よく3度目の
訪問が果たせたが、感激する絵またいくつかでてきたので大満足だった。

再会を楽しみにしていたのは‘エドワード・ダーリー・ボイドの娘たち’。
サージェントがこの傑作を描いたのは25歳。ある絵の構成を意識している。
そう、ベラスケスの‘ラス・メニーナス’(プラド美)。実際にこの絵を描く
2年前にスペインを旅行し、‘ラス・メニーナス’を模写している。日本でボス
トン美名画展が何度も開催されているのに、この4人の娘たちは姿をみせて
くれない。ボストン美がつくっているカタログ(英語版)の表紙に使われて
いるのがこの絵。自慢の絵だから、なかなか貸し出してくれない。

‘ヘレン・シアーズ’は感激の一枚。ミュージアムショップに絵葉書が販売され
ているのだが、ここではあえてそれに替えて写真撮影したものを使った。
理由はびっくり仰天した衣服と花の白の輝きが写真の方がしっかりでている
から。同じように大変魅了されたのが‘チャールズ・インチェ夫人’。白子の
ように白い肌が心を揺さぶった。この夫人はこの絵をみた1年後だったか2年
後だったか忘れたが、世田谷美に出品された。カタログに載っている‘ワレン
夫人と娘’もなかなかいい。二人が親子にはみえず姉妹のよう。

サージェントに開眼した‘カーネーション、ユリ、ユリ、バラ’は東京都美であ
ったテートギャラリー展(1998年)にやって来た。ボッテイチェリの‘春’
を連想させるような花園のなかで二人の女の子が花々の間に吊るされた日本
の提灯に明りをともすところが描かれている。この光が少女たちの顔や服、
手、そしてカーネーションやユリ、バラをいっそう輝かせている。


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