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‘死の島’(1880年 バーゼル美)
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‘オデュッセウスとカリュプソー’(1883年 バーゼル美)
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‘死神のいる自画像’(1872年 ベルリン美)
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‘ペスト’(1898年 バーゼル美)
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‘生はつかの間の夢’(1888年 バーゼル美)
謎や秘密につつまれている絵画というと、ダリやエルンストらのシュルレア
リスム絵画がすぐ思い浮かぶが、もうひとつこれを強く感じさせる画家たち
がいる。ベルギー象徴派のクノップフ(1858~1921)やスイスの
バーゼル出身のアルノルト・ベックリン(1827~1901)の絵もその
幻想的で不気味な表現が心をザワザワさせる。
‘死の島’はベックリンの代表作で、5つのヴァージョンがある。バーゼルに
あるものが最初に描かれ、第2ヴァージョンをメトロポリタン美、そして
最後のものをライプツィヒ造形美が所蔵している。これは何度見ても心が凍
りつく。静寂な海面に浮かぶ岩山の島には墓地を意味する糸杉が真ん中に直
立しており、死のイメージが重くのしかかってくる。その死の島へ向かって
進む小舟には棺桶がみえ白衣の人物が不気味に起立している。
ベックリンの怖い描写は‘メメント・モリ’(死を想え)の象徴である骸骨の
登場で加速される。‘死神のいる自画像’のベックリンは映画俳優並みのいい男。
画家は骸骨で表現された死神が横に最接近してきたのをそれほど怖がりもせ
ずなにやら創作のヒントをもらったかのような表情をしている。だから、死神
は‘ペスト’では街の上を疾走している。強力なコロナウイルスが猛威をふるい
感染拡大がとまらない今の日本の状況をみているよう。
‘生はつかの間の夢’では上部をみると老人に一撃を振り下そうとしている死神
がシルエットとなって浮かび上がっている。左側の戦いに赴く兵士は成年を
表している。手間の草地を横切る小さな川では幼な子が無心に遊んでいる。
幼年、成年、老年と人生の諸段階が描かれている。