デュビュッフェの‘彫刻の森美に遣わされた大使たち’(1975年)
美術の教科書で学ぶ彫刻家ですぐ思い浮かぶのはイタリアのミケランジェロ
とフランスのロダン。だから、彫刻というとこの二人の作品を最初に覚える。
美術に興味がなければこれで彫刻家は終わり。彫刻作品は重たいから海外の
美術館からやって来ることは数少ない。そうすると近代以降活躍した海外の
彫刻家の作品にふれる機会は限られ、海外旅行をしたときにみるか国内の
美術館で運よくお目にかかるかしかない。
イタリアのジャコモ・マンズー(1908~1991)とエミリオ・グレコ
(1913~1995)のつくった具象彫刻を日本の美術館でみたのは彫刻
の森、松岡美、茨城県近美、埼玉県近美、福島県美。ローマのサン・ピトロ
大聖堂や国立近代美でみたものを含めても視覚体験が少ないのでぼちぼちみ
たという印象だが、‘衣を脱ぐ’と‘うずくまる女NO.3’にみられるマンズー
とグレコの作品の特徴は少しは目が慣れている。
デュビュッフェ(1901~1985)の‘彫刻の森美に遣わされた大使た
ち’はよく覚えている。これをみたのは30年くらい前だが数年前にパリで
も同じような合成樹脂でつくられたゆるキャラ風のオブジェに遭遇した。
そのときの印象があまりに強烈だったのですぐこの画家であり彫刻家の名前
が刷り込まれファンになった。
ニキ・ド・サンファル(1930~2002)の‘ミス・ブラック・パワー’は
大きな風船人形のイメージ。箱根へ行ってない人も彼女の回顧展が日本で2回
開かれたので展示会場ではどーんと飾られたでぶっちょ女のパワーに口あん
ぐり状態になったことがあるかもしれない。
海外の美術館巡りは当分無理だから目は国内の美術館に向かっている。大き
なターゲットがふたつある。秋田県近美にある藤田嗣治の大壁画とイサム・
ノグチ(1904~1988)が札幌につくった‘モエレ沼公園’(2005年
完成)。彫刻の森にある立方体の‘オクテトラ’の別ヴァージョンを楽しみたい。