箱根に大きな美術館からこじんまりとした美術館までいれると全部でどのく
らいあるのか正確にはおさえていない。これまで出かけたのは岡田、ポーラ、
彫刻の森、箱根ラリックの4館。ほかでインプットされているのは山本丘人
のコレクションで知られる成川美とポーラとラリック美の中間あたりにある
星の王子さま美。まだある?
1969年に開館した彫刻の森美を訪問したのは30年くらい前、だから
どういうルートをクルマで走り到着したかすっかり忘れている。地図で確認
すると岡田美から北へそう遠くないところにある。ここは日本にいて楽しめ
る近代彫刻の殿堂ともいえる場所。彫刻の本にでてくる有名な彫刻家の作品
が続々登場するので海外のたとえばポンピドーの展示室で味わったような
感激が再現される。
八重洲のアーチゾン美でも出会えるブランクーシ(1876~1957)の
‘接吻’は彫刻の森美でみたのが最初かもしれない。ひと目見て‘これはおもし
ろい!’とフリーズした。体を超がつくほど密着させて愛の強さを確認する
男女。今は新型コロナウイルスの感染防止でこのような姿になれらないのだ
からストレスがたまるだろう。
ブランクーシと未来派のボッチョーニ(1882~1916)の彫刻作品
‘空間における連続する形’はポンピドーで一緒にみたことがきっかけで以来
二人の作品はいつも響き合っている。ボッチョーニの黄金の彫刻をみると
なぜか宝塚歌劇団の男役の舞台を連想する。
スペインのガルガリョ(1881~1934)の‘大預言者’とリトアニア
のリプシッツ(1891~1973)の‘出会い’にも思わず足がとまる。鉄
を使い透彫のようなユニークな人体像を表現した‘大預言者’には同じスペイ
ンのゴンザレスやダリの作品が重なってくる。