7月13日に放送された‘美の巨人たち’はゴッホの絵をとりあげていた。5月にアムステルダムにあるゴッホ美はリニューアルオープンしたので、番組のスタッフはこれがみたくてここにある‘ゴーギャンの肘掛け椅子’に焦点をあてたゴッホ、ゴーギャン友情物語を思いついたのかもしれない。
今日の話はこの絵のことではなく、展示室の変更された壁の色のこと。展示室の映像は‘火のついた煙草をくわえる骸骨’と‘ゴーギャンの肘掛け椅子’の2ヶ所だったが、壁の色は青紫に変わっていた。この色をみてすぐ思い出したのが、2011年秋にリニューアルが完成した新装オルセー美。壁の色は以前のものから印象派がよく使った色が最も引き立てられる青みがかった濃いグレーに変わった。変更の効果は昨年の2月にあったBSプレミアムの特集番組で詳しく解説していた。
オルセーにあるゴッホの作品が展示してあるのはルノワールの‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’などのある5階ではなく2階だが、壁の色は同じ。この新オルセーの壁の色に刺激されてゴッホ美はリニューアルにあたって同じ色か似たような色を採用したのだろう。
オルセーの展示室と同じような感じになっているの日本の美術館にもある。それはで東近美の平常展示の部屋。特別展をみたあと、いつものように近代日本画にある部屋に足を運んだらまったく展示の仕方が変わっていた。しかも壁の色はオルセーとそっくり。この効果は大きく、これまで見慣れた作品が全然違う作品のように輝いていた。新オルセーはまだ体験してないが、現地ではたぶん東近美で味わったのと同じことを感じるにちがいない。
次のパリやアムステルダムがいつになるかわからないが、オルセー、ゴッホ美では輝きを取り戻した印象派の作品をまたじっくりみてみたい。印象派とのつきあいはライフワーク、楽しみはつきることがない。