ボッチョーニの‘フェルッチオ・ブソーニの肖像’(1916年)
日本画家の加山又造が若い頃のめり込んだイタリア未来派に大変魅了されている。そのきっかけとなったのが2度訪問する機会があったローマの国立近代美。これでバッラ(1871~1958)やボッチョーニ(1882~1916)らの作品にだいぶ目が慣れた。
そして、これがツキを呼び込んだ。2013年久ぶりにでかけたNYのMoMAでは必見リストに載せていた未来派のコレクションがなんとほとんど姿を現してくれた。明快な色彩と生き物が動くような抽象的フォルムのスピーディな展開が心を躍らせる。
国立近代美での主役はバッラ。これぞ未来派という感じの作品が7~8点並んでいる。とくにしびれたのが‘躍動するイタリア’と又造の馬の絵が連想された‘拡大+スピード’。バッラはボッチョーニやセヴェリーノとちがって人物や具象物の痕跡をまったくみせず三角形や円形といったキレのある幾何学模様を使って重層的でリズミカルな動きをつくっていく。これによって生まれる抽象美は本当にスゴイ!
ボッチョーニは5点あった。長くみていたのは画集で知っていた‘フェルッチオ・ブソーニの肖像’、ブソー二はボッチョーニと親交のあった作曲家。量感にある形をセザンヌを思わせる彩色が興味深い。そして、ごつごつした丸い顔だがキュビスム風な匂いもするブロンズ像‘洗練嫌い’にも足がとまった。