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Channel: いづつやの文化記号
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クリムトの花オール・オーヴァー!

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Img_0003     ‘けしの野’(1907年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

Img_0001     ‘ひまわりの咲く農家の庭’(1905~06年 ベルヴェデーレ宮)

Img_0005     ‘農家の庭’(1905~06年 プラハ 国立近代美)

Img     ‘りんごの樹Ⅱ’(1916年 ベルヴェデーレ宮)

オーストリアのウィーンは2003年に訪問した。はじめてこの街に足を踏み入れてから20年経っていたので、ウイーン美術史美やクリムトの‘接吻’があるベルヴェデーレ宮殿がとても新鮮に感じられた。ウィーンはヨーロッパではお気に入りの街、あと1,2回行きたいという気持ちを強く持っている。

そのときの楽しみ方はおおよそイメージできている。3つある楽しみの大半を占めているのがクリムト、シーレめぐり。あとは美術史美でチェッリーニの傑作彫刻‘フランソワ1世の塩入れ’をみることと昨年その素晴らしいコレクションが公開されたリヒテンシュタイン美を訪問すること。

クリムト(1862~1918)の作品が沢山あるベルヴェデーレ宮、2回の訪問と日本であったクリムト展などで画集に載っている名画にだいぶ済みマークがついている。でも、まだ9点も残っている。今、クリムト作品の展示についての生の情報がないが、とても一回では終わりそうにない。

そのなかでとくに関心の高いのが正方形の画面いっぱいに花が描かれた風景画。‘けしの野’や‘ひまわりの咲く農家の庭’は花をモチーフにした静物画とちがい、絵にとても力がある。数多くの花が画面全体にオール・オーヴァーに広がり、花の命の輝きを感じさせる。装飾的に描かれているのに花の存在感が強く印象に残るその生感覚、これが一番の魅力。‘ひまわり’と画面構成がよく似ているのがプラハの国立近代美が所蔵する‘農家の庭’、これも大変魅せられる。

‘りんごの樹Ⅱ’は15年くらい前日本にやってきた。大きなアフロヘアのような形をした木に赤や黄色のりんごが豊かに実っている。インパクトのある木のフォルムが今も忘れられない。ベルヴェデーレ宮にはりんごの木を描いた作品がもう1点あたったのだが、こちらは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’などと同様2006年競売にかけられ個人が所有することになった。これで対面の夢が完全に消えた。


一生の思い出となる‘貴婦人と一角獣展’!

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Img_2     ‘貴婦人と一角獣 触覚’(1500年頃 クリュニー中世美)

Img_0001_2     ‘味覚’(部分)

Img_0004_2     ‘視覚’(部分)

Img_0002_2     ‘我が唯一の望み’

国立新美で開催されている‘貴婦人と一角獣展’(4/24~7/15)をみてきた。パリのクリュニー中世美にすばらしいタピスリーがあることはTVの美術番組などにより以前から知っている。だから、アバウトだがクリュニー美は次のパリの美術館めぐりをするときの候補のひとつに入れていた。

その追っかけが幸運なことに一気に早まった。貴婦人と一角獣、そしてライオン、うさぎ、猿、鳥、花の精たち御一行様が大挙日本へお出ましいただくことになろうとは。こんな夢みたいな話が実現するのだから日本の美術シーンは本当にスゴイ。

タイミングがいいことに昨日の日曜美術館はこの貴婦人と一角獣のタピスリーを特集、そのためか2階の展示室には大勢の人がいた。この6枚の大きなタピスリーに何が描かれているかは事前のインプットが効いているので、絵の中にすっと入っていける。描かれた‘五感’は序列の低い順番から時計まわりで飾られている、‘触覚’、‘味覚’、‘嗅覚’、‘聴覚’、そして‘視覚’、最後は‘我が唯一の望み’。

御一行様のなかで緯線が向かうのはやはり貴婦人と一角獣。貴婦人の顔は6面ともみな違う、お気に入りは‘味覚’の右手でお菓子をとり左手にとまった鳥にあたえている貴婦人。また、‘触覚’の一角獣の長い角を握っている貴婦人の横顔にも惹かれる。

一角獣とライオンがペアで描かれているが、ライオンには申し訳ないが一角獣ばかりみていた。体に量感がありとても愛らしいのが‘視覚’の一角獣。容姿度ではちょっと落ちる貴婦人のひざに前足をのせる姿が微笑ましい。

このタピスリーにはいろいろな動物が登場する。一角獣とライオンのほかには、うさぎ、猿、犬、子羊、狐、子こどもライオン、そして鳥はカササギ、鷺、ハヤブサなどなど。このなかでおもしろいことに気づいた。猿は6面全部に登場しない、なぜかある感覚にはまったく描かれてない。何度もみたがいなかった、さてどの感覚か?みてのお楽しみ!

最後の‘我が唯一の望み’はこれまでいろいろな解釈がされてきた。ここには第六感の‘心’が描かれている。貴婦人は宝石箱に首飾りを戻しているのか、これからつけようとしているのか、どっちだろう。それとこの‘心’の意味がどうつながっているのか、興味は尽きない。

久しぶりに読み応えのあるいい図録が手に入った。満足度200%の展覧会だった。

アートに乾杯! 一角獣の美

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Img_0001_2     モローの‘一角獣’(1885年 パリ モロー美)

Img_0003_2     ボスの‘快楽の園’(部分 1500~10年 マドリード プラド美) 

Img_0004_2     ‘驚異の書’マルコ・ポーロの旅の報告記、1410年頃 フランス国立図書館

Img_0002_2     ‘エジプトの奇想天外な動物たち’1485年 フランス国立図書館

一角獣(ユニコーン)の絵というとすぐ思いつくのがある。モロー(1826~1898)の‘一角獣’、この絵は何年か前、日本にやってきた。たしかBunkamura。国立新美で今展示されているタピスリー‘貴婦人と一角獣’が一般公開されたのが1882年。モローはこのタペスリーに刺激されてこの絵を描いたといわれている。

獰猛な一角獣は処女の前ではおとなしくなるというのはこの絵をみるとよくわかる。サロメを連想させる妖艶な女性二人に体を触られて3頭はもう羊のようなやさしい動物に変身している。モローの絵にはスフィンクス、ケンタウロス、キマイラなど架空の動物がいろいろでてくるが、この一角獣の姿に一番惹きつけられる。

ボス(1450~1516)の‘快楽の園’(三連祭壇画)にも一角獣は登場する。でも画面をじっくりみないと気づかない。全部で3頭いる。まず1頭は左翼パネルの‘地上の楽園’の左上に描かれ、生命の泉で水を飲んでいる。もう2頭は中央パネルの‘快楽の園’。真ん中の池の周囲をまわっている騎馬行列に目をやると、右上に裸の男が一角獣に乗っている。そして、左下のところにもう1頭が首や前足をみせている。

一角獣は怪獣のひとつとして百科事典的な書物によくでてくる。マルコポーロ(12世紀)の東方見聞録に記述された一角獣を15世紀のはじめ頃当時の画家が描いている。マルコポーロはサイを伝説上のユニコーンと同じものだとみなしていた。

フランス国立図書館にはおもしろい本がもう一冊ある。挿絵‘エジプトの奇想天外な動物たち’はロピネ・テスタール著‘世界の驚異の書あるいは自然の秘密’に使われたもの。ライオンやワニなどにまじって白い一角獣がいる。

NYのメトロポリタン美の分館、クロイスターズに7枚の連作タピスリー‘一角獣狩り’があることは以前から図録で知っている。これがつくられたのは‘貴婦人と一角獣’と同じ1500年頃、日本で‘貴婦人と一角獣’を奇跡的にみることができたので、METにあるものも是非みたくなった。

五感に序列があるの?

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Img_0003     ヤン・ブリューゲルとルーベンスの‘嗅覚’(1618年 マドリード プラド美)

Img_0004      ‘聴覚’

Img_0002      ‘視覚’

Img ティツィアーニの‘ヴィーナスとリュート奏者’(1560年頃 NY メトロポリタン美)

2年前、スペイン旅行をしたときマドリードのプラド美で所蔵するルーベンス(1577~1640)の作品を数多く展示した特別展に遭遇した。そこにも‘貴婦人と一角獣’に描かれた‘五感’を表現したものがあった。

作品はルーベンスがヤン・ブリューゲルと一緒に描いたもので、‘触覚’、‘味覚’、‘嗅覚’、‘聴覚’、‘視覚’をクピドを連れたヴィーナスの仕草や行っていることで表している。‘嗅覚’ではヤンのお得意の花が画面いっぱいに咲き誇っている。‘聴覚’はヴィーナスが楽器を演奏する場面、そして‘視覚’ではクピドが持つ絵をヴィーナスがながめており、部屋は絵画や彫刻で埋め尽くされている。

五感は伝統的に序列がつけられている。‘高次’の感覚と‘低次’の感覚に分けられ、この‘高次’に入る聴覚と視覚だけが愛や美の世界と関係をもつとされ、触覚、味覚、嗅覚は排除された。そして、聴覚と視覚の序列についてはいろいろ論じられたが、視覚が聴覚より上というのが一般的な認識でダ・ヴィンチもこういっている。‘音楽はたんに絵画の姉妹というにすぎない。なぜなら、視覚のあとに位置づけられる聴覚を用いるのだから’

これに対し、新プラトン主義のフィチーノ(1433~1499)は中道の立場をとり視覚と聴覚は同じとし、二つを心と同格にまで引き上げる。‘美には三種類ある。魂の美、肉体の美、音の美、である。魂の美は心が感知し、肉体の美は視覚が享受し、音の美は聴覚を通じて感じられる。愛は常に心、目、耳に満足する’

美術史家のパノフスキー(1892~1968)はティツィアーノ(1485~1576)の描いた‘ヴィーナスとリュート奏者’についてこの聴覚、視覚の関係を切り口にして興味深い読み解きを行っている(‘ティツィアーノの諸問題’2005年 言叢社)。ティツィアーノはヴィーナスと音楽を結びつけたテーマではもうひとつオルガン奏者のヴァージョンを3点描いており、その2点がプラドにある。

ふたつの絵はオルガン奏者が先に描かれそのあとにリュート奏者が描かれた。‘オルガン奏者とヴィーナス’では最初の絵とつぎの2点ではオルガン奏者の描き方により、視覚の聴覚に対する完全優位からいくらか優位に変わったと、パノフスキーはいう。

ベルリン美にある最初のヴァージョンは奏者は楽器に触れてなく、横たわっているヴィーナスをうっとり見つめているが、プラドにあるヴァージョンでは両手は鍵盤に置かれ奏者は体をよじりヴィーナスをみている。この描き方のちがいにより聴覚の美(音楽を聴くこと)に対する視覚的な美(裸体に具現される)の優位が変わったと解釈するのである。

そして、オルガン奏者からリュート奏者に変わり視覚と聴覚は均衡のとれた状態になったと読み解く。それはこう。オルガンを演奏しながら美しいヴィーナスを感嘆して眺めることはできない。でも、リュートならヴィーナスの美しさに魅せられながらセレナードを奏でることができる。パノフスキーは音楽にも造詣の深かったティツィアーノがフィチーノの思想を絵の中に表現したと解釈した。

アゲイン ‘もののあはれと日本の美’展!

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Img_0003_2     土佐光起の‘春秋花鳥図屏風’(右隻 江戸時代 17世紀 穎川美)

Img_0001_2     本阿弥光悦・俵屋宗達の‘鹿下絵新古今集和歌巻’(17世紀 サントリー美)

Img_0004_2     尾形光琳の‘秋草図屏風’(18世紀 サントリー美)

Img_2     北野恒富の‘星’(1939年 大阪市立美)

サントリー美で開かれている‘もののあはれ展’(4/17~6/16) は追っかけ画が5点あるのでまた行かざるをえない。北村美蔵の‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 展示5/8~5/20)もみたかったが、これは京都へでかけたときの楽しみにとっておくことにして、ほかのものを優先した。

その絵は土佐光起の‘春秋花鳥図’(5/22~6/16)と‘伊勢新名所絵歌合’(重文 5/15~6/16)。‘春秋花鳥図’を所蔵しているのは西宮にある穎川(えがわ)美。この美術館の名前は20年目前にあった‘やまと絵展’の図録でインプットされたが、えがわと読むのに時間がかかった。

この屏風のほかに長沢蘆雪の‘月夜山水図’(5/22~6/16)もコレクションしている。関西方面へでかけたときは訪問してみようと思っていたが、運よく東京でみれたのでその必要がなくなった。

前回とりあげた‘秋草鶉図’同様、‘春秋花鳥図’も図録で魅了されていたが、本物は期待どうりの華麗な屏風だった。季節柄右隻の桜と柳に目が釘付けになる。ナイアガラの滝を連想させるのが柳の細い枝、多くの柳が金雲を前後ではさむようにして垂れ下がっている姿がとても美しく感じられる。

今回はこの絵と‘伊勢新名所絵歌合‘の2点買いなので、あとはさらっとみた。足がとまったのは光悦と宗達の合作‘鹿下絵新古今集和歌巻’、鹿の絵はほかにもいくつかあるが鹿が何頭も群がっているこの絵が一番気に入っている。

琳派の絵とやきものが今回沢山でている。宗達10点、尾形光琳(1658~1716)の‘秋草図’、乾山の絵・やきものが合わせて5点、酒井抱一1点、鈴木其一4点。だから、琳派に心を寄せてみると楽しさが増すかもしれない。

近代日本画のいい絵と再会した。北野恒富(1880~1947)の‘星’、こういう美人画の構図は簡単にでてくるように思いがちだが、これがむつかしい。しばらくいい気持ちでみていた。

追っかけ‘佐竹本三十六歌仙絵’!

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Img_0001_2  ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 鎌倉時代 13世紀 京都・北村美)

Img_0002_2     ‘小大君’(重文 奈良・大和文華館)

Img_0003_2     ‘紀友則’(重文 京都・野村美)

Img_0004_2     ‘藤原敏行’(重文)

‘佐竹本三十六歌仙絵’には特別の思い入れがあり、一点でも多くみたいと願っている。でも、この絵の追っかけはとても完成しない。サントリー美の展覧会であらたに一点が姿をみせてくれ、これまでみたものは37点のうち17点になった。

過去に‘佐竹本’を少しまとまった形でみる機会がいくつかあった。
★‘日本と東洋の美’(東博 1992年)  ‘平兼盛’など5点
★‘歌仙の饗宴’(出光美 2006年)   ‘小大君’‘紀友則’など9点
★‘特集陳列 佐竹本三十六歌仙絵’(東博 2006年)  ‘小野小町’など4点
★‘森川如春庵コレクション’(三井記念美 2007年)  ‘藤原敏行’
★‘もののあはれ展’(2013年 サントリー美)   ‘藤原高光’‘源順’

‘徒然なるままに’さんが06年ご自身のブログで‘佐竹本’37点がどこの美術館あるいは個人に所有されているかをまとめられた。大変有難い情報で追っかけに利用させてもらおうと思っている。その貴重なリストによると個人の所蔵が多く16点を数える。このなかでお目にかかったのは画像に載せている‘藤原敏行’、‘藤原興風’、‘小野小町’、‘壬生忠見’の4点だけ。残りは大‘佐竹本三十六歌仙絵展’でもないかぎりみれそうにない。

対面の可能性があるのは美術館にあるもの。日本画の場合、常時展示されていないので美術館へでかけてもみれるという保証はないのだが、アバウトに狙いを定めている美術館は、

★京都・北村美 ‘藤原仲文’
★京都・湯木美 ‘在原業平’
★京都・泉屋博古館 ‘源信明’
★諏訪湖・サンリツ服部美 ‘大中臣能宣’
★広島・耕三寺博物館 ‘紀貫之’

まずは旅行計画のたてやすい京都の3つの美術館。ぼちぼち進んでいきたい。

ニューヨークのパブリックアート!

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Img_2     パークアベニューにある‘エンパイア・ステート・ビル’(2013年)

Img_0001_2     ウオール街にあるイサム・ノグチの‘レッド・キューブ’(1968年)

Img_0002_2     クラークソン・ストリートにあるキース・へリングの作品

Img_0003_2     ブリーカー・ストリートにあるピカソの‘シルベットの胸像’(1967年)

本日8時から放送されたBS朝日の‘木梨憲武 アートって何だ!’を楽しく見た。これは1ヶ月くらい前に放送された憲武のニューヨークアートめぐりの続編、パブリックアートが沢山でてきた。

NYの街を自分の足で歩いた範囲はごく限られているので、パブリックアートが置かれている場所のイメージがわいてこないのがもどかしいが、作品がもっている形や表現のおもしろさには大いに刺激される。セントラルパークのなかを気軽に歩いたことがまだない。ここにある‘ユナイテッドエメニー’というタイトルのついた人物彫刻はドーミエの風刺画にでてくる人物の感じ、こんなおもしろいオブジェがあったとは!

5番街から東へ2つ行ったパークアベニューに高層ビルをモチーフにした野外アート作品がいくつもでてきた。もっとも興味をおぼえたのがキューバ人アーティストが今年制作した‘エンパイア・ステート・ビル’、このNYのシンボルを消防車の横にぐるぐる巻きにされているホースのように表現する発想がユニーク、はかにもクライスラービルが蛇がとぐろをまくみたいに変容していた。

作品は8ヶ月ごとに展示替えになるようだが、ここには奈良美智や村上隆の作品も設置されたという。へえー!こうしてNYのアートゾーンにしっかり根をはっているのだから、二人はコレクターや美術ファンの間ではヤヨイ・クサマとともに現代日本アートのシンボル的な存在になっているにちがいない。以前村上隆のオブジェがグランドセントラル駅に飾ってあるという話を聞いたことがあるが、今もあるのだろうか?

いつかみたいと思っていたイサム・ノグチの‘レッド・キューブ’が登場した。場所はウオール街、HSBC銀行の前、このあたりは1月のNY観光のときバスのなかからみたが、残念ながら‘レッド・キューブ’はとらえられなかった。これで次回しっかりみる心の準備ができた。

キースへリングのプールの周りの壁に描かれた作品やピカソのコンクリートでできた彫刻がある場所はまったくわかならいが、運よく情報を得たのでいつか本物の前に立ってみたい。

メトロポリタン美の分館 クロイスターズにある‘一角獣狩り’!

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Img_0003_2     タペスリー‘一角獣狩り 囚われの一角獣’(1495~1505年)

Img_2     ‘神秘の一角獣狩り’

Img_0001_2     ‘一角獣の発見’

Img_0002_2     ‘流れから飛び出す一角獣’

海外にある美術館をめぐる旅はこれまで大半がヨーロッパだったが、今心はぐぐっとアメリカにむかっている。1月ニューヨークで久しぶりにMoMAやグッゲンハイムを訪れ、近代絵画や現代アート作品を楽しんだ。これで心のなかにあるNY熱に一気に火がついた。そうすると、ふしぎなものでNYのアートシーンに関する情報がいろいろ入ってくるようになった。

4月末にはBS朝日で木梨憲武がMoMAを訪問したり画廊めぐりをするじつにタイムリーな番組に遭遇したし、昨日はその続編があり興味深いパブリックアートがいくつもでてきた。刺激的なオブジェを目にすると、自由の女神がNYへまたおいで!と微笑んでいるように思えてきた。

そして、もうひとつNYへ駆り立てるものがある。それはメトロポリタン美の分館、クロイスターズにあるタペスリー‘一角獣狩り’。これは27日に国立新美ですばらしいタペスリー‘貴婦人と一角獣’をみたことが大きく影響している。このフランスの至宝をみたことで、以前から存在は知っていたクロイスターズにある‘一角獣狩り’が俄然頭をもたげてきた。脳が文化記号の響き合いを強く感じているのである。

‘貴婦人と一角獣展’(7/15まで)は今、知人、友人に大いに宣伝している。この展覧会の収穫はもうひとつ、作品を収録した図録。とてもいい編集で情報量が多く読みやすい。有難いことにクロイスターズ蔵の‘一角獣狩り’の7点が全部掲載されている。これまでMETの図録でみたのは2点のみ。この図録のお蔭で連作タペスリーの全貌がわかった。

わかりやすい解説によると、一角獣狩りというテーマは宮廷的恋愛、受胎告知、キリスト受難という3つの文脈で解釈され、7点はそれにもとづいて描かれている。最初にでてくる‘狩りの始まり’と‘囚われの一角獣’は宮廷的恋愛を表現している。日曜美術館でも名大の先生がこの恋愛の話にふれていたが、一角獣は男性の恋人で一角獣を捕らえるための乙女は男性の求める女性。狩人は男性を虜にする愛を意味する。

気を惹くのが‘神秘の一角獣狩り’、これは受胎告知に見立てられている。乙女が聖母マリア、一角獣はマリアの母体に宿るキリスト、そして左で角笛を吹く狩人が大天使ガブリエル。これまで受胎告知を数多くみてきたが、ガブリエルが男性に代わったものはみたことがない。

残る4点は一角獣がキリストでこの場面がキリスト受難を表していることはすぐ理解できる。‘一角獣の発見’、‘流れから飛び出す一角獣’、‘追い詰められた一角獣’、‘殺され、城へ運ばれる一角獣’。本物の前では夢中になってみてしまいそう。その機会が早く訪れることを願ってミューズに祈りをささげることにした。


アートに乾杯! 一角獣・イソップ物語・国芳

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Img_0003_2 ‘一角獣狩り 追い詰められた一角獣’(1495~1505年 クロイスターズ分館)

Img_2     ‘イソップ物語 馬とライオン’

Img_0002_2     歌川国芳の‘近江の国の勇婦於兼’(1831~32年)

メトロポリタン美のクロイスターズ分館に所蔵されている連作タペスリー‘一角獣狩り’が掲載されている‘貴婦人と一角獣展’の図録を手に入れたことは大きな収穫だった。そのなかにとても気になる姿の一角獣がいる。キリスト受難の文脈で描かれた4点のひとつ‘追い詰められた一角獣’。

この場面は狩人と猟犬に追い詰められた一角獣が後足で最後の反撃をしているところ。一角獣が登場する絵をみることがきわめて少ないから一角獣の姿はとても新鮮。そのうえこの一角獣は生死の境にいるからおとなしくしてない。前足をぴんと伸ばし後足を高くあげできるかぎり強くみせようとしている。この姿がどうも気になる。

ある絵がすぐ頭をよぎった。それは歌川国芳(1797~1861)が描いた豪傑女と馬の絵。じつはこの絵は西洋の銅版画を下敷きにして制作されたものだった。1999年、神戸市立博物館の学芸員勝盛典子さんは江戸の旗本がもっていたフランス語版の‘イソップ物語’を調査しているとき挿絵のなかに国芳の浮世絵によく似たものがあることを発見した。

誰がみても国芳の絵が‘馬とライオン’を参考にして描いたものであることはわかる。そして、いま気になっているのはこの馬の姿。イソップ物語の挿絵を描いた画家はひょっとして‘一角獣狩り’で後ろ足をあげている一角獣をみたのではないかと。

馬が後足をあげることはよくあることだから、別に一角獣狩りのタペスリーを知らなくてもライオンに足蹴をくらわせる馬の姿は描ける。だから、まったく関係ないのかもしれない。隣の方は話は聞いてくれるが興味なしという顔つき。でも、これがイソップ物語というのがひっかかる。動物寓話集とか古い博物誌とつながっているのだろうか?

‘貴婦人と一角獣展’に遭遇したことで一角獣を含めた怪物や生き物たちが神話やキリスト教の世界でどういう姿形で描かれてきたのか知りたくなった。で、関連本を引っ張り出し動物情報の読み解きをはじめている。

祝 日本W杯出場決定!

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Img     PKを決めた本田圭佑

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サッカー日本代表がW杯出場を決めてくれた。拍手々!4年ごとにやってくるサッカーのW杯の予選、わが家ではこの出場権を決める試合だけは世間並みに盛り上がる。

今日の相手はオーストラリア、この予選は現在3位と日本より成績は悪い。だから、ここは勝って出場するイメージで試合をみていた。前半は日本が攻め込むこともあり、また逆にオーストラリアに逆襲されて危ない場面もあったから五分五分の戦いだった。

注目の選手は香川と長友、そしてエースの本田。3月のヨルダン戦のときは長友、本田が怪我で出場できなかったから、今日は2人のプレーに期待をしていた。戦術的はことはわからないが、本田がボールをキープするとなにか点が入りそうな気がする。香川の前へ前へ突破していく動きはやはりスゴイなと思う。

前半0-0で終わり、後半がはじまった。惜しかったのが香川のシュート。バーを少しはずれた。また、長友の左サイドからシュートも残念だった。あの角度からのゴールはなかなかむつかしい。25分が過ぎたころから、引き分けまであと20分と計算しはじめて。このままいくかなとみていたら、37分オーストラリアの選手が左サイドからふわーっと蹴ったボールがまさかのゴール。

あれー、こりゃ大変なことになった。この時間帯に点を入れられたらもうダメ、今日は悪い日だと観念した。ところが、44分瞬時にはわからなかったが、日本のPKだという。VTRをみたらオーストラリアの選手がハンドをしていた。こんなことがあるのか!という感じ。PKを決めれば同点になる。運がまた日本にやってきた。

蹴るのは本田。この男はやっぱりもっている。ゴールど真ん中に決めた!サッカーをよく知らないので真ん中を狙うのがわからない。キーパーがでーんと構えている真ん中を狙うより右か左にぶちこんだほうがゴールする可能性が大きいのではと思ってしまう。

本田の強烈ど真ん中シュートでブラジル行きが決まった。残り3分で劇的に追いついたので大感激。本当によかった。

アートに乾杯! ‘貴婦人と一角獣’には兎がいっぱい

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Img_0001_3     タペスリー‘貴婦人と一角獣 視覚’(1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0007_2     ティツィアーノの‘うさぎの聖母’(1530年頃 パリ ルーヴル美)

Img_0005_2     デューラーの‘野兎’(1502年 ウィーン アルベルティーナ美)

今、国立新美でタピスリー‘貴婦人と一角獣’をみた感激の余韻にひたっている。これまで海外の美術館、宮殿、あるいは邸宅などでタピスリーを体験する機会は何回かあったが、夢中になってみたのはロンドンのヴィクトリア&アルバート美にあるラファエロが下絵を描いたものだけ。このMyタペスリーにあらたに‘貴婦人と一角獣’が加わった。

今回の展覧会に用意された図録は特別に出来がいい。そのなかでとくに興味深いのは詳細に解説されている千花文様(ミル・フルール)の花の数々と樹木、そして一角獣とライオン以外に登場する動物たち。タペスリーのなかには40種類の植物が描かれているそうだ。花の名前がなかなか覚えられなかったので、この図録はとても貴重。

動物で一番多くでてくるのが兎。7つのタペスリーに34回現れるのだそうだ。たしかに目につく。西洋絵画に長く親しんでいるが、兎がこんなに登場する作品はみたことがない。‘視覚’に描かれた兎が一番多く全部で8匹いる。兎のポーズは5つあり、これが繰り返し使われている。

兎がでてくる絵ですぐ思いつくのはルーヴルにあるティツィアーノ(1485~1576)が描いた‘兎の聖母’とデューラー(1471~1528)の‘野兎’くらい。でも、本物にはまだ縁がない。‘兎の聖母’は繁殖力のシンボルとかキリスト受難とか、復活を意味するものとして図像的な解釈がなされる兎をみるにはもってこいの作品だが、この絵は倉庫にあることが多いのでいまだに追っかけ画リストに残っている。次回のルーヴル訪問でみれるだろうか?

‘野兎’にはデューラーの半端ではない写実力の高さが存分に発揮されている。兎が目の前にいるよう。ウィーンへまた行くことがあったら、この絵を万難を排してみようと思っている。

アートに乾杯! 絵画に描かれたペット犬と猟犬

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Img_2     ‘貴婦人と一角獣 我が唯一の望み’(1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0002_2     タペスリー‘放蕩息子の出発’(1510~20年 クリュニー中世美)

Img_0003_2  ファン・エイクの‘アルノルフィニ夫妻の肖像’(1434年 ナショナルギャラリー)

Img_0004_2    コジモの‘ニンフの死を悼むサテュロス’(1495年 ナショナルギャラリー)

散歩をしていると愛犬を連れて歩いている人とよくでくわす。ペットを飼う習慣がないので、犬の散歩のときの心構えというものがわからない。でも、たぶんこうなんだろうなというのがひとつある。

それは愛犬が立ち止まって草の匂いなどを嗅いだりしているときは散歩に連れ出した人はずっと待っていること。‘さあー、行くよ!’と犬をせかせることはしない。犬が動き出すのを辛抱強く待っており、散歩のペースは犬が決めている。ほとんどの人がそうしているのをみると、犬をストレスから解放しのびのびさせてやるのが散歩の目的だからこれが当たり前なのかもしれない。当たっている?

犬の種類で知っているのはわずか、ダックスフンド、チワワ、チン、スピッツ、ブルドッグ、ドーベルマン、柴犬、秋田犬、、西洋の犬がどの時代から存在しているのかよくわかってないが、西洋画を通じて犬の情報が少しばかり入ってくる。例えば、ルネサンスの時代ドイツで活躍したクラナハの描いた‘エデンの園’とか‘鹿狩り’では野犬や猟犬がでてくる。

そして、‘貴婦人と一角獣’では髪のふさふさしたチンみたいな犬が描かれている。こういう犬が貴族の館で飼われていたというのがすごく不思議な感じがする。この犬をみてすぐ思い出したのがロンドンのナショナルギャラリーにあるファン・エイク(1390~1441)の有名な絵。この‘アルノルフィニ夫妻の肖像’で夫婦の真ん中に描かれた犬はイコノロジー的にいうと貞節の象徴。この犬はいつごろからヨーロッパにいるのだろうか?

大きなタペスリー‘放蕩息子の出発’は‘貴婦人と一角獣展’(国立新美 7/15まで)で飾られているもの。父親に見送られて出発する息子が乗る馬のまわりには犬が何匹もいる。犬の名前は不明だが、絵画に描かれるのはだいたいこの細身の犬。‘貴婦人と一角獣’にもこういう子犬がチンタイプとともに可愛く描かれている。

ピエロ・ディ・コジモ(1462~1515)が15世紀の終り頃に制作した横長の‘ニンフの死を悼むサテュロス’は横たわるニンフをそばでじっとながめている猟犬の存在感が強く感じられる作品。古典絵画で犬が主役扱い風に大きく描かれたものはほかにない。コジモの絵にはグロテスクな怪物も含めて生き物がいろいろでてくるが、画家自身動物が好きだったのだろう。

アートに乾杯! おとなしいライオンと獰猛なライオン

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Img      デューラーの‘聖ヒエロニムス’(1495年 ロンドン ナショナルギャラリー)

Img_0001    ルーベンスの‘ライオンの穴の中のダニエル’(1613年 ワシントン国立美)

Img_0002     ジェリコーの‘白馬を襲うライオン’(1824年以前 パリ ルーヴル美)

Img_0004  ティツィアーノの‘賢明の寓意’(1465年頃 ロンドン ナショナルギャラリー)

傑作タペスリー‘貴婦人と一角獣’で一角獣とペアを組んでいるのがライオン。7枚のタペスリーのなかには口を大きくあけて強さをアピールしているものもいるが、総じてあまり怖くなく可愛い感じのするライオン。一角獣が角を切ると即馬なのに対し、おとなしいライオンは犬を大型化したのと変わらない。

ライオンが古典絵画に登場するときはおとなしいことが多い。聖人ヒエロニムスはよく描かれる題材だが、聖人のそばにはいつもライオンがいる。デューラー(1471~1528)の描いた作品でもライオンがうしろに静かに座っている。獰猛さがみじんも感じられないのはこのライオンは聖人に恩があるから。体に刺さった棘に苦しんでいると聖人がこれを抜いてくれたのである。

ルーベンス(1577~1640)が描いた英雄ダニエルの物語ではライオンがいっぱいでてくるが、じつにおとなしい。預言者ダニエルをライオンのいる洞窟に投げ込んで抹殺しようと企てた者たちには想定外のことが起こった。ライオンたちはダニエルに襲いかかろうとしない。ダニエルの勇気と徳の高さがライオンの荒々しい気性まで変えてしまった。この絵を5年前、ワシントンでみたときはライオンの気高さが強く印象づけられた。

ライオンの獰猛さに戦慄を覚えるのがルーヴルにある‘白馬を襲うライオン’。描いたのはロマン派の画家ジェリコー(1791~1824)。これはとてもショッキングな絵。背中をガブリとやられた白馬の苦しそうな表情、この悲惨な光景は長くはみれない。ジェリコーの盟友ドラクロアにも緊張を強いられるライオンの絵がある。

ティツィアーノ(1485~1576)の絵に描かれたライオンはアメリカのMGM映画の映像を思い起こさせる。この絵は上に三世代の人間の顔、すなわち老人(過去)、壮年(現在)、若者(未来)が描かれている。これに対応しているのが狼、ライオン、犬。画像ではみえにくいが上に‘過去の経験によって、現在は賢明に振舞う、未来の行為を損なわぬために’と書かれている。百獣の王ライオンは動きが力強く活動的なので現在を表すとされた。

アートに乾杯! 猿の物真似

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Img_2     ‘貴婦人と一角獣 嗅覚’(部分 1500年頃 パリ クリュニー中世美)

Img_0001_2     エル・グレコの‘寓話’(1580年 マドリード プラド美

Img_0004_2   スネイデルスの‘果物、猿のいる静物’(1630年 リヒテンシュタイン美)

Img_0002_2     アンリ・ルソーの‘異国風景’(1910年 パサデナ ノートンサイモン美)

‘貴婦人と一角獣’をみていてとても新鮮に感じられるのは五感の表現の仕方。‘嗅覚’では貴婦人がナデシコの香りを楽しみながら花の冠をつくっている。そして、その後ろでは猿がそれを真似てバラの匂いを嗅いでいる。猿というと遠い昔から物真似が得意な動物というイメージができあがっている。

小学生のころ動物園へよく行った。いろいろな動物と出会うが長くみているのは檻のなかを動きまわるもの。カバやワニはほとんど動かないからすぐ飽きてくる。これに対し、猿はとにかくせわしなく動く。鮮やかな色をした鼻で強烈な存在感をみせるマントヒヒ、休むことなく左右を行き来する姿が目に焼きついている

どこの動物園でも大勢の猿がいる山がある。ここには自由に動きまわる元気のいい猿、親猿にくっついてちょこちょこ歩く子猿など猿のいろいろな表情や姿態が目を楽しませてくれる。猿とはこの動物園でのおつきあいが長かったため、家のまわりにいる犬や猫と同じくらい身近な存在になった。

猿が描かれた西洋画は馬の絵のようにはぽんぽんでてこない。古典絵画ですぐ思いつくのはエル・グレコ(1541~1614)の‘寓話’とスネイデルス(1579~1657)の静物画。‘寓話’に描かれた猿はじつにリアルで真ん中の少年や右の男と一緒にいても違和感がないから不思議。こんな猿顔の人を探すのに苦労をすることはない。

この絵になぜ猿が登場するのか?ひとつの解釈は猿を描くことで美術を‘自然の猿真似’として示したというもの。なるほどね、そうくるかという感じ。

猿の強欲がそのまま表現されているのがスネイデルスの作品。猿は後ろにいる猫ににらみをきかせながら、テーブルにあるリンゴやブドウなどの果物を食べ放題。この絵は昨年国立新美であったリヒテンシュタイン美展でお目にかかったが、猿の顔が妙に頭のなかに残っている。

アンリ・ルソー(1844~1910)が沢山描いた熱帯の楽園で猿は森の風景に欠かせない生き物。ここでは猿は物真似や食べ物をがつがつ食べるイメージから解放されて、親しみを覚えるゆるキャラみたいな存在になっている。子ともがテナガザルのシールをペタペタ貼ったような描き方だから、余計にそんな雰囲気になる。まさに‘モンキーパラダイスへようこそ!’と歓迎されているよう。

後半展覧会の鑑賞計画!

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Img_2     モスクワ プーシキン美術館 別館

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今年前半に鑑賞を計画していた展覧会は一部パスしたものもあったが、ほど予定通り出動した。で、心は後半に開催される展覧会のほうへ向かっている。

美術館のHPをサーフィンして情報をゲットしたりチラシがいろいろ集まってきたので、後半どこの美術館でどんな展覧会が開かれるかおおよそつかめてきた。いつものことだが、デパート系の美術館の情報が少ないのがもどかしいが、1ヶ月先くらいまではわかっている。こうした展覧会情報はもう少し情報を加えて7/1に紹介する予定。

そのなかでお楽しみのものを先出ししてみたい。最も期待しているのが横浜美で7/6から開催される‘プーシキン美展’。今は愛知県美で行われており(4/26~6/23)、これに合わせてBS朝日が4月に放送された‘世界の名画’でプーシキン美自慢のコレクションに光をあてていた。

1月に念願のフィラデルフィア美を訪問したのでビッグ美術館で残るはこのプーシキン美のみ。番組によるとここは本館と別館に分かれており、本館に古典絵画、そして別館に19~2世紀ヨーロッパ・アメリカ美術が展示されているようだ。

具体的な計画ができているわけではなのだが、なんとしてもこのプーシキンには足を踏み入れようと思っている。そう心に決めてはいるが、今回日本にやって来た作品はそれをぐらつかせるほどすごいラインナップになっている。画集で追っかけマークをつけていたのがアングル、ルノワール、ゴッホ、、ゴーギャン、アンリ・ルソー、ほかにもプッサンやモネなどもある。

とくに期待を寄せているのがルノワールとルソー、今年わが家はルノワール、クリムト、ルソーイヤー。ルノワールは三菱一号館美でクラークコレクションに遭遇し、アメリカでもフィラデルフィア美、フィリップスコレクション、METで心を浮き浮きさせてくれる傑作をみることができた。その締めくくりが横浜におでましいただくジャンヌ・サマリー。
対面がもうすぐ実現する。

ルソーは‘詩人に霊感を与えるミューズ’、これもすごく楽しみ。またゴーギャンの‘エイアハ・オヒバ(働くなかれ)’も待ち望んでいる一枚、ゴーギャンの絵はエルミタージュとこのプーシキンにいい絵がごそっとあるが、そのなかの傑作2点が日本で公開された。‘果実を持つ女’(エルミタージュ)と‘その名はヴァイラウマチ’(プーシキン)、そして今回‘働くことなかれ’。大いに期待したい。

1月アメリカで現代アートの目慣らしをだいぶやったので、国立新美で行われる‘アメリカン・ポップ・アート展’(8/7~10/21)に対してはかなり前のめり状態。作品の詳細はまだ不明だが期待はできそう。はたして、ウォーホル、リキテンスタインのプラスαはいくつでてくるか、とても楽しみ!


今秋 見逃せない日本美術展覧会!

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この秋に開催される日本美術の展覧会で期待大なのは東博の‘京都 洛中洛外図と障壁画の美’(10/8~12/1)。チラシの裏には京博がカリカリきそうなキャッチコピー‘京都でも見ることのできない京都’が踊る。そこまで刺激しなくてもいいのに。

お楽しみは‘洛中洛外図’、国宝・重文に指定されている7点を全部展示するというから豪華なラインナップ。それらは
★国宝 狩野永徳の‘上杉本’ 米沢市上杉博
★重文 岩佐又兵衛の‘舟木本’ 東博
★重文 ‘歴博甲本/町田本’ 国立歴史民俗博
★重文 ‘歴博乙本/高橋本’ 国立歴史民俗博
★重文 ‘勝興寺本’      富山 勝興寺
★重文 ‘池田本’        岡山 林原美
★重文 ‘福岡市博本’     福岡市博 

05年上杉博までクルマを走らせ念願の‘上杉本’をじっくり時間をかけてみた。そのとき03年ここで‘洛中洛外図’の特別展が開かれ、7点のうち‘舟木本’と‘池田本’、‘福岡市博本’を除く4点が展示されたことを知った。だから、今回の東博の展覧会はそれ以来のビッグな‘洛中洛外図展’、これは見逃せない!

まだ出品作の全容が明らかでないがほかの風俗画、例えば‘四条河原遊楽図’などもどどっと結集するような気がする。5年前渋谷のたばこと塩の博物館であった‘近世初期風俗画 躍動と快楽’をぐっとスケールアップした感じの風俗画展になるのではなかろうか。

やきもの展でスゴすごそうなのが‘光悦展’(10/26~12/1 五島美)と‘井戸茶碗展’(11/2~12/5 根津美)。ともにやきものの展覧会では定評のあるブランド美術館、名品が沢山みられるにちがいない。開幕が待ち遠しい。

お気に入りの近代日本画家の回顧展が横浜で3つ開催される。横浜美では‘横山大観展’(10/5~11/24)をまずやり、そのあと‘下村観山展’(12/7~2/11)。そして‘今村紫紅展’(11/2~12/8)が三渓園で行われる。また、東近美の‘竹内栖鳳展’(9/3~10/14)も注目の回顧展。

マリナーズ 岩隈 7勝目!

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ここしばらく日本人投手トリオの勝ち星無しの試合が続いていたが、今日行われたアストロズとマリナーズの1戦で岩隈がようやく勝利投手になった。これで7勝目!

ここ数試合、岩隈の投球内容はまったくすばらしく、この試合でも7回を1点に抑え込んだ。チームの成績が振るわないので同じ西地区のレンジャーズ(現在首位)で投げるダルビッシュのように登板の度に中継してもらえないが、これだけいいピッチングをすれば、これからは投げる試合が放送されることが多くなるかもしれない。

岩隈の防御率は1.79にあがり、大リーズ30球団の先発投手のなかでは2番目の成績になった。勝ち星ではダルビッシュと並び、防御率ではぐっと差をつけた。だから、数字でみるかぎり現在岩隈はダルビッシュを上回っている。

好成績の秘密はその安定したコントロール、球種はストレート、フォーク、スライダー、カーズの4つだが、どの球も低めに決まるので、がぁーんと長打をくらったり、続けてヒットを打たれることが少ない。今、これだけ左右の低めにポンポンとストライクをとれるピッチャーはほかにいない。とにかく安心してみられるのがいい。また、四球を与えないことも失点が少ない要因になっている。

こうした安定したピッチングは昨年後半先発で投げるようになってから、ずっと続いている。アメリカのメディアがこれを昨年後半と今年を合算した防御率のデータで明らかにしている。岩隈の防御率はドジャースのエース、カーショーに次いで2番目の成績。先発投手として大リーグにデビューし、その投球術は加速度的に磨きがかかり今やトップのレベルに達している。これは本当にスゴイ!

岩隈のオールスター出場の可能性がかなり高くなってきた。このまま好投を続けて欲しい。

日本野球機構は呆れるほどひどい組織!

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今年のプロ野球は飛ぶボールの影響で打撃力の差が勝敗に大きくかかわってくるという話を先月書いた(拙ブログ5/11)。その飛ぶボールについて日本野球機構(NPB、球団の経営者団体)がようやく認めた。

これまでNPBはずっと仕様変更はしてないといってきたが、このウソが通じなくなったので本当のことを今頃明らかした。球団を経営する側の人間の考え方、行動にはいつもながら呆れかえる。選手やファンのことなどちっとも考えないまったくひどい組織である。以前からNPBには愛想をつかしているので、とくに驚くことは無いが、こういう隠ぺい体質、ファン無視の態度が繰り返えされると、相も変わらずダメな組織だなと思ってしまう。

NPBはボールをつくっているミズノにもウソをつかせていた。シーズンがはじまったらすぐボールが飛ぶことはわかるのに、なにを勘違いしたのか‘ボールの仕様は昨年と同じという方針でずっといくからな’、で2ヶ月半とおしてきた。この間球団サイドはなにもコメントしない。選手、監督、コーチ、解説者、ファンはみなわかっている。なにをいまさらである。

これだけホームランが飛び交い、乱打戦が多くなると打撃力があるチームのほうが断然優位。打てないチームは上位には食い込めない。もちろん、投手力がよくないと優勝にはとどかないが、今年は飛ぶボールなので、投手陣をそろえたチームでも失点を少なくするのは大変。勝負は打力で決まる。

NPBがボールの仕様をまた昨年のものに変えることはないのだから、ペナントを狙うのなら打撃の強化が最優先課題になる。飛ぶボールを利用した打ち方をよく考える、これは打撃コーチの仕事。ポイントはとにかく振り切ること、するとホームランが思いのほかでる。バッターは気持ちがいいはず。昨年はこのくらいのスイングではスタンドにとどかなかったのに今年ははいってくれる。みているファンも乱打戦のほうが楽しい。

投手は今年は厄年と思って打たれてもあまり気にしないこと。ボールのせいにしてしまう。また、バッターも打ち損じや打ち疲れがあるから、極端に慎重にならず持ち球を信じて投げる。それでOK。率直にいわせてもらえれば、投手陣には悪いがバッターが元気に打ち続けるのを楽しみたい。

トレド街角ウオッチングとスペインの食べ物!

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Img_0001       トレドのタベーラ施療院

Img_0002      ダベーラ施療院にあるエル・グレコの祭壇画‘キリストの洗礼’

Img_0003               トルティージャ

Img_0004                   チュロスとホットチョコレート

2日前、BS日テレで放送された‘大人のヨーロッパ街歩き スペイン・トレド’(火曜日 夜7時)を楽しく見た。この旅番組はこれまでみたことなかったのだが、今年2月にみた大規模な‘エル・グレコ展’(東京都美 拙ブログ2/28)が強く印象に残っているので、TV番組雑誌で情報を得たとき‘見るマーク’をつけていた。

トレドは07年に訪問した。団体ツアーの場合、ガイドさんまかせのぞろぞろ歩きだから、有名なトレド大聖堂が街のどのあたりにあるのかよく頭にはいってない。とにかく、ガイドさんを見失わないように迷路のような石畳の道を歩いたという感じ。だから、番組のなかで案内役の2人の女性が紹介していた名所も見覚えのある場所は大聖堂とエスカレーターがあったところだけ。ほかの風景はまった記憶にとどまってない。

現在美術館になっているタベーラ施療院がでてきた。ここが所蔵するエル・グレコ(1541~1614)の‘聖アンナのいる聖家族’は1月の回顧展に出品されたので、敏感に反応する。中にある祭壇画はグレコの手によるもの。またトレドへ行く気になったら、ここは是非寄ってみたい。

女性が案内する旅番組はどうしても食べることが多くなる。07年と11年のとき食べたトルティージャ、これはじゃがいもをいっぱい使ったスペイン風オムレツ、なかなか美味しい。バールでもう一品食べていたのは豚肉のトマスソース煮込みのカルカムサス、これを食べたかはよく覚えていない。

11年スペインをまわったときはじめて胃袋のなかにいれたチュロス、女性たちはホットチョコレートにチュロスをつけて食べていた。ほかの番組でみたときもこんな風にぱくついていた。これは甘そうなので次回はこの食べ方でいきたい。

トレドをはじめて訪問した時お土産として買ったのが金属の装飾置物のダマスキナード、黒地に金の線を細かく埋め込んで模様をつくっているので見栄えがとてもいい。だから、つい買ってしまう。ところが、何年か経つと全体が錆びてきた。これには参った!

ブルージェイズ 川崎 勝利に貢献! 

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今日の試合でヤンキースの黒田、レンジャーズのダルビッシュ、ともにいいピッチングをしたのに勝ち星がつかなかった。一ヶ月近く勝ちがつかないと応援している側も気が萎える。

ヤンキースとアスレチックスの試合はなんと延長18回まで進んで結局、アスレチックスが2-3でサヨナラ勝ち。黒田は8回まで投げ通しヒット2本で2失点、これだけ好投しても勝ち投手になれないのは、打線が湿っているから。現在、ヤンキースには3割を打っている選手は一人もいない。この打力の低さは相当深刻。

このため、監督は毎日のように選手の打順を変えている。軸になるのはカノー。で、2番で打たせたり、3番で打たせりする。これは打順が前のほうが打席に立つ回数が多くなるから。大リーグは3番を打つ選手が最強打者。この考えがあるので、イチローが今日みたいに7回打順がまわってヒット3本をつらねても2番には引き上げない。あくまでも監督の頭のなかにあるのはカノー中心のオーダー。

ダルビッシュが登板したブルージェイズとレンジャーズの1戦、レンジャーズの打線が下降しているなか、ダルビッシュは7回をヒット3本の1失点に抑え試合をつくったが、勝ち越すことができすマウンドをおりたため、勝敗はつかなかった。試合は8回にブルージェイズが2点をいれこれが決勝点になった。

ダルビッシュはここ2試合、少ない失点がのりきったので防御率は2.64まで上がってきた。これはアリーグの4番目の成績、2番は岩隈の1.79.また、黒田は2.78で8番につけている。

このところブルージェイズのショートで先発出場している元気印の川崎、3回打席がまわってきたが、四球と犠打で得点にからむ働きをした。守備は無難にこなしている感じだが、打つほうはまだ余裕がない。それでも、毎日試合にでているせいか簡単にはアウトにならないしぶとさがでてきた。これは大きな変化。

やはり選手は場数を踏まないと自信をもってプレーできない。もうすぐ足の故障で戦列を離れていたレイエスが戻ってくるが、ショートでも出場はなくても、セカンドとかサードで起用されることは十分ありうる。だから、川崎は今監督に強くアピールしておかないといけない。今日のプレーは○、熱く応援したい。

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