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Channel: いづつやの文化記号
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生誕300年記念 若冲展!

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Img_0001_2      ‘孔雀鳳凰図’(1755年 岡田美)

Img_0005     ‘動植綵絵 老松鸚鵡図’(1761年以前  三の丸尚蔵館)

Img_0004      ‘花鳥版画 雪竹に錦鶏図’(1771年 平木浮世絵財団)    

Img_0002     ‘蟲菜譜’(部分 重文 1792年 佐野市立吉澤記念美)

カラヴァッジョ同様、伊藤若冲(1716~1800)は一生つきあっていく画家だから東京都美ではじまった‘生誕300年記念 若冲展’(4/22~5/24)にすぐ出かけた。開館は10時と思っていたので、初日の10時半ならそんなに待たず入館できるとふんでいた。ところが、すでに結構な数の人が並んでいて展示室に着くのに30分くらいかかった。開館時間は9時30分、1時間も経つとやはり混雑してくる。さて、今日、土曜の混み具合はどうだったのか。

今回の作品数は全部で93点(このうち6点は5/10~5/24の展示)、数はびっくりするほど多くはないが一点々は大リーグのオールスターゲームに出場するスター選手みたいに若冲本にはお馴染みのものばかり。最大の目玉の‘動植綵絵 30幅’(これは国宝みたいなもの)に加え重文はすべて揃っている。

事前に出品作をチェックしたところ、新規のものは数点。世の中に数多くいる若冲ファンならたぶん、2009年の‘若冲ワンダーランド’(MIHO MUSEUM)、2010年の‘伊藤若冲アナザーワールド’(千葉市美、静岡県美)、そして昨年サントリー美で行われた‘若冲と蕪村’は出かけられているはず。また、6,7年前東博でも‘動植綵絵’が全部飾られている。

だから、チラシでいっている‘ひと月限りの、この世の楽園’は確かにそうではあるが、これが久しぶりにある特別な回顧展というものでもないから混雑が嫌な人はパスするのも一つの選択。率直ないい方をすると苦労していままででてこなかったいい作品を集めてきたという感じではない。

ちょっと気になったのは監修者の小林氏が館長をしている岡田美(箱根)から83年ぶりに発見されたという‘孔雀鳳凰図’をはじめ6点がでていること。うがった見方をするとこの展覧会を岡田美のPRに使っているのではないかと思ってしまう。秋には箱根で‘若冲と蕪村’を開催し‘孔雀鳳凰図’を展示するというから商売の匂いがする。

もう二つ安易な集め方がある。それは好感度の悪い美術館のリストに入れている細見美(京都)から4点、エツコ&ジョープライスコレクションから9点が展示されていること。細見美は2009年のMIHO MUSEUMのときは1点も出さず、2010年の千葉市・静岡県ではわずか1点ですませたのに、東京で若冲展があるというと4点も大盤振る舞い。これも商売がかっていていい気持がしない。

そして、またあのモザイク画‘鳥獣花木図屏風’をだしてきたプライスコレクション、日本画初心者でもこの絵の下手くそな描写に気づくのにまだ若冲作として展示する厚かましさ、そしてそれを若冲工房作としないで若冲作として展示することを認めている辻氏や小林氏のなあなあ体質。本当にうんざりするし日本美術史家というのは楽な職業だなとつくづく思う。

プライスコレクションは以前にも6点くらいやって来た。また9点も並べる必要がどこにあるのか、国内にはほかにいい絵がいくつもあるというのに。

作品の感想は新規のものが少ないので‘孔雀鳳凰図’とこれまでみたなかで好きな作品をピックアップしてみた。‘孔雀鳳凰図’の横に三の丸尚蔵館蔵の‘旭日鳳凰図’が飾ってあり、見比べながらみるといい気分になる。鳳凰の羽の色はこの2点は多くの茶色と部分的に白で彩色されているが、‘動植綵絵’の‘老松白鳳図’では白一色、この胡粉のインパクトの強さに目を奪われる。胡粉の魅力がいろいろな鳥で感じられるが‘老松鸚鵡図’もじつに楽しい。

平木浮世絵財団が所蔵する花鳥版画に200%魅了されている。とくにぐっとくるのが背景の闇に錦鶏を大きく浮かび上がらせた‘雪竹に錦鶏図’。カラリスト若冲の卓越した色彩感覚が冴えわたる名品。

最後にでてくる蛙の姿に思わず笑みがこぼれる‘菜蟲譜’は毎度々夢中になって昆虫や野菜をみてしまう。最近この絵をコレクションしている吉澤家は野州石灰の会社を経営していることがわかった。そんなこともあり長くみていた。


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