円山応挙の‘地獄変相図’(18世紀後半 東京都杉並区・眞盛寺)
府中市美で開催中の‘ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想’(3/12~5/8)は後期に作品が入れ替わったので再度出かけた。今回は美術館に着くまでの道順を変えてみた。京王線の特急に乗り府中で下車し、そこからいつもは東府中から利用している巡回のバスに乗り込んだ。5つ目の停留所が府中美。こちらのルートのほうがだいぶ早く美術館に着ける。
江戸絵画の魅力をいろいろな切り口でみせてくれるこのシリーズは今や府中美の価値を大いにあげている注目の展覧会、今年は‘ファンタスティック’、江戸時代に描かれた絵画をどういうイメージで楽しんでもらうか、学芸員の腕のみせどころであるが、会場をまわっているうちに‘なるほどね、ファンタスティックいう横櫛を通してみてみるとこれまでとは異なる画家のイメージが浮かび上がってくるものだな’、と感心してしまう。
そして大きな満足を感じる一番の理由は作品のセレクション、こんな絵があったの!と何度も驚かされる。歌川国芳(1797~1861)の‘一休和尚と地獄太夫’ははじめてお目にかかる作品。この画題は髑髏の上に足をのせて踊る一休が登場する河鍋暁斎の絵をすぐ思い出すが、国芳は和尚と地獄太夫を対面させている。
Bunkamuraの‘国芳、国貞’に続き、ここでも二人はコラボしている。歌舞伎をみているような気分になるのがカッコいい姿が視線を釘づけにする歌川国貞(1786~1864)の‘奇術競 鳴神上人’、この連作を通期で6点もみれたのは大きな収穫。
図録をみて狙いをつけていたのが円山応挙(1733~1795)と葛飾北斎(1760~1849)。応挙がこんな‘地獄変相図’を描いていたとはまったく想定外だが、絵が達者な人物は求められれば何でも上手に仕上げるんだということである。
昨日放送された‘美の巨人たち’は北斎の娘の葛飾応為に焦点を当てていたが、最後に北斎の‘富士越龍図’がでてきた。長野県の小布施の北斎館でみたもののほかに別ヴァージョンを個人コレクターが所蔵していた。こんな絵をみせてくれる府中市美がますます好きになった。