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近代日本美術の煌き! 1953年(昭和28) その二

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     板谷波山の‘彩磁桔梗文水差’(出光美)

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     荒川豊蔵の‘志野茶碗’(東近美)

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     岩橋英遠の‘庭石’

陶芸家として初の文化勲章受章者となった板谷波山(1872~1963)、長生きの家系なのか91歳まで生きた。晩年もその制作意欲は衰えをみせることなく81歳のとき若い頃の作品を彷彿とさせるアールヌーヴォー調の‘彩磁桔梗文水差’を生み出している。老いてますますモダンなのだからまったく驚く。桔梗のもつ耽美な香りをやさしくつつみこんだエレガントな水差。80を超えた老陶芸家の仕事にはとても思えない。

2008年、茨城県陶芸美で荒川豊蔵(1894~1985)の回顧展が行われた。待ち望んだやきもの展だったので喜び勇んで笠間までクルマを走らせた。今は横浜から茨城県や千葉県の美術館へクルマで行くことがほとんどなくなったが、このころはドライブを兼ねてよく出かけていた。笠間の茨城県陶芸美、五浦の天心記念館、そして千葉の河村記念美、西では熱海のMOA。

志野や瀬戸黒など美濃の桃山茶陶の再現に挑んだ荒川豊蔵、第一回の日本伝統工芸展に出品された‘志野茶碗’はただ桃山志野をただ甦らせたのではない荒川流の表現がみられる名碗、全体にあらわれた緋色がじつに味わい深い。

岩橋英遠(いわはしえいえん 1903~1999))は北海道の滝川氏に生まれた日本画家、その存在を知ってからずいぶんな時間が経つが待ち望んでいる回顧展はなかなか実現しない。その作風は現代感覚にあふれ、とくに空の描写に心を打たれることが多い。

‘庭石(雪、雨、月、水)は二重丸つきの作品。いつ行われた展覧会でみたのか記憶が薄れているが、現代作家が描くような画面構成に度肝をぬかれたことはよく覚えている。ぱっとみると庭に置かれた石が宙に浮いているようにみえる。この奇抜でファンタジックなアイデアはどこから生まれたのだろうか。


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