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Channel: いづつやの文化記号
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圧巻のカラヴァッジョ展!

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Img_0001     ‘エマオの晩餐’(1606年 ミラノ ブレラ美)

Img_0003 ‘エッケ・ホモ’(1605年 ジェノヴァ ストラーダ・ヌオーヴァ美)


Img     ‘法悦のマグダラのマリア’(1606年)

Img_0002     ‘バッカス’(1597~98年 フィレンツェ ウフィツィ美)

上野の西洋美ではじまった‘カラヴァッジョ展’(3/1~6/12)を早速みてきた。生涯の思い出となる大回顧展をローマをみたのが2010年、そして日本でまたあのカラヴァッジョがみれるというのだからたまらない。

今回のカラヴァッジョはすべてイタリアにあるもの、全部で11点。ほかにも力のこもったカラヴァジェスキたちの作品がいくつも結集している。東京都美ではルネサンスの華、ボッティチェリの傑作が並び、すぐ近くの西洋美では圧巻のカラヴァッジョ展、3月に入り上野は一気に芸術のホットゾーンになってきた。

カラヴァッジョ(1571~1610)は‘エマオの晩餐’を2点描いており、ミラノのブレラ美からやって来たのは2作目のもの。お目にかかるのは3度目だが大変気に入っている。ここに登場するキリストは映画俳優なみのイケメン、このモデルの選び方が人々におおいにうけたにちがいない。対照的にキリストをとりかこんでいるのはどこにでもいるような人たち、印象深いのが画面右にい3人の男と女の額の皺。

そして、心を静めてみているとこの絵のすごさがわかってくる。左からさしこむ光が顔にあたる明るさはキリストが一番強く立っている男と女では少しずつ弱くなっている。描かれている場面は宗教画のおなじみのテーマではあるが、ここにいるのは町に住んでいる普通の人間だから風俗画感覚でみてしまう。これこそがカラヴァッジョ絵画の一番の魅力。

期待の高かった‘エッケ・ホモ(この人を見よ)’、大満足! このキリストは優しそうな若者、こういう仕事はそこそこやるのに自己主張の少ない人物は会社にはよくいる。だから、右のひげをはやした年配の男がこちらにむかっていっていることは想像できる。‘この男、いまひとつ弱いんだよね。もっと自分をださなきゃわかんないよね’とかなんとか。

収穫はもう一点あった。‘法悦のマグダラのマリア’、2002年岡崎美でみたカラヴァッジョ展にこの絵の別ヴァージョンが出品された。見た瞬間体がフリーズしたが、今回でている作品はさらにいい。マグダラのマリアのもつ神秘性と官能性をこれほどリアルに表現するカラヴァッジョの描写力、200%圧倒された。

ウフィツイ美からお出ましいただいた‘バッカス’、気になっていたワインのフラスコに描かれているというカラヴァッジョの顔、じっくりみたがまたダメだった。ところが、家に帰って先日載せた大回顧展の図録をじっとみていたらふとわかった! 右下の白くなっている部分と影のところの境目あたりに少し横向きの小さな顔がみえる。もう一度でかけて確かめるつもり。


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