‘書物の聖母’(1482~83年 ミラノ ポリデイ・ベッツォーリ美)
‘ラーマ家の東方三博士の礼拝’(1475~76年 ウフィツイ美)
‘オリーブ園の祈り’(1495~1500年 グラナダ 王室礼拝堂)
現在、上野の東京都美で開催中の‘ボッティチェリ展’(1/16~4/3)をみてきた。昨年3月、Bunkamuraで充実した内容のボッテイチェリ展が行われてまだ1年も経っていないのに、またまたボッテイチェリ(1444~1510)、これほどルネサンスのビッグネームの作品が集中して公開されるのだからたまらない。
今回東京都美に集結したボッテイチェリは予想を大きく上回った。美術本に載っている作品がここにもあそこにもあるという感じ。このラインナップならルーヴルやロンドンのナショナルギャラリーなどで開かれる一級のルネサンス展と較べても見劣りしない、ヒットを打ち続ける東京都美のどや顔が目に浮かぶ大ホームランといったところ。
ボッテイチェリの真筆は17点、そのなかで群を抜いてすばらしいのがミラノのポリデイ・ベッツォーリ美からやって来た‘書物の聖母’、絵のサイズは意外にもあまり大きくない。聖母子像の完成度でいえばウフィツイにある‘柘榴の聖母’、‘マ二フィカトの聖母’と同じクラス、チラシの‘待望の初来日’のキャッチコピーは見た瞬間納得、深い青の衣装と惜しげもなく使われた金を立ち尽くしてみていた。
男女の肖像画で魅了されるのが丸紅が所蔵する‘美しきシモネッタの肖像’、お目にかかるのはたしか2度目、これは日本にある古典画では大原にあるグレコの‘受胎告知’同様、お宝扱いの作品。ほかにもフィレンツェのピティ宮殿蔵の左向きのシミネッタと‘マッツォッキオをかぶった若い男の肖像’、そしてワシントンのナショナルギャラリーから出品された‘胸に手をあてた若い男の肖像’(展示は25日で終了)も飾られている。もう,頭がクラクラしそう。
フィレンツからよくこんないい絵がやって来たなと思うのが、ボッテイチェリ本には必ず絵のなかに描きこまれた自画像のことが解説されている‘ラーマ家の東方三博士の礼拝’、絵解きが興味をそそる晩年の作‘アペレスの誹謗’、そしてオンニ・サンテイ聖堂に飾られている大作‘書斎の聖アウグステイヌス’。よくぞお出ましいただきました!
今回未見の作品で収穫だったのが衣服の赤と緑の草木の鮮やかなコントラストが目にしみる‘オリーブ園の祈り’、スペインのグラナダにあるのでどうみても縁がないと思っていたら、目の前にひょいと現れた。なんという幸運。
見どころはボッテイチェリだが、師匠のリッピやその息子のフィリッピーノの作品にも目を惹くのがあり、本当に贅沢な展覧会、東京都美に拍手々!