俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋図屏風’(1631年 静嘉堂文庫美)
12/23、この日が会期の最終日だった2つの展覧会に足を運んだ。ひとつは静嘉堂文庫美で行われていた‘金銀の系譜’、もうひとつは千葉市美の写真家杉本博司(1948~)の回顧展‘今昔三部作&趣味と芸術ー味占郷’。
静嘉堂文庫へでかけるのは久しぶりだし、お目当ての俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋・澪標図屏風’をみるのは2006年以来のこと。ワシントンのフリーア美で‘松島図’と対面したばかりなので、3年かけた修復が終了した‘関屋・澪標図’に心がどう動くのか対面を楽しみにしていた。
‘関屋図’ですぐ反応したのが源氏が乗っている牛車のすぐ横と関山のむこうのある岩、茶、青、緑で彩色された表現は‘松島図’に描かれた海の岩のデジャブがおきているよう。そして、‘澪標図’で視線が追っかけるのが明石の君がいる船のまわりの波の描写と源氏のいる牛車や従者たちを取り囲むようにしてたつ松の木々、波の動きは‘松島図’にくらべて穏やかで静かに海面が揺れている感じだが、松を横の方向にのばす平坦的な描き方は‘松島図’と共通する。
‘松島図’がアメリカに流失しなければ国宝の指定をうけ、今年のような琳派の節目の年には‘風神雷神図’、‘関関屋・澪標図’と一緒に展示され琳派の美の神髄をみせつけたことだろう。‘松島図’が日本にないことがかえすがえすも残念でならない。
千葉市美の‘杉本博司展’でみたかったのは4月MOAで開催された琳派展に出品された‘月下紅白梅図’、NHKの美術番組で制作過程を含めて詳しく紹介されたので、本物がみたくてしょうがなかった。本歌が写真で再現されこんな漆黒の紅白梅図に変容した。今、日本美術に深く傾倒している杉本博司のアート魂は半端ではない。
今年も拙ブログにおつきあいいただきましてありがとうございます。
皆様よいお年をお迎えください。