マグリットの‘ゴルコンダ’(1953年 メニル・コレクション)
ここ数年一年を通して足を運ぶ展覧会の数は50くらいになっているが、今年はアメリカの美術館巡りを含めて52回だった。このなかから心に残る展覧会を10選んでみた。いつものように順序はつけず開催された順に並んでいる。
★古田織部展 12/30~1/19 銀座松屋
★新印象派展 1/24~3/27 東京都美
★若冲と蕪村展 3/18~5/10 サントリー美
★マグリット展 3/25~6/29 国立新美
★明治ニッポンの美 4/4~5/17 東芸大美
★藤田美の至宝 8/5~9/27 サントリー美
★久隅守景展 10/10~11/29 サントリー美
★宗達展 10/24~1/31 フリーア美
★村上隆 五百羅漢図展 10/31~3/6 森美
★ラファエロ前派展 12/22~3/6 Bunkamura
昨年、満足度の高い展覧会が多かった西洋絵画、今年は3点しか入ってこなかった。期待していたグエルチーノ展はカラヴァッジョとつい比べてしまうため会場をまわっているうちに関心がしぼんでいった。また、以前ローマのカピトリーニ美で最高傑作をみたことも満足度の低下に影響している。この絵を基準作にしてみると出品作がどれもぐっとこない感じだった。
‘新印象派展’、‘マグリット展’、‘ラファエロ前派展’には追っかけ画が入っていたことがポイントを上げた。展覧会には1点でも気になる作品があると出かけるというのが美術鑑賞の基本姿勢なので、マグリットの‘ゴルコンダ’や昨日紹介したミレイの‘いにしえの夢’がでてくると心は天にも昇るような気になる。
7点入った日本美術関連の展覧会にはそれぞれワクワクさせる作品との出会いがあった。1月の‘古田織部展’に登場した‘織部扇面形蓋物’は一生忘れられない名品。やきものは‘藤田美の至宝’で乾山・光琳の合作‘角皿’を10点全部みれたことも大きな収穫だった。
強い関心を寄せていた‘久隅守景展’も期待通りのラインナップで大きな満足が得られた。とくに視線が釘付けになったのが‘鷹狩図’、‘四季耕作図’同様、守景の風景画には風俗画の楽しさがぎっしりつまっている。
絵画の魅力のひとつに画面の大きさがある。それを見せつけくれたのが村上隆の‘五百羅漢図’、鬼や龍などには造形的におもしろくないところもあるが、主役の五百羅漢像はとてもよく描かている。図録がようやくできたので早めに購入したい。
わが家の今年のハイライトはなんといってもワシントンのフリーア美でみた‘宗達展’、長年の夢だった‘松島図’と‘雲龍図’が一緒にみれて言うことなし。感動の余韻が半年くらい続きそう。