‘6つのマークのランゲ・ライゼン’(1864年 フィラデルフィア美)
‘灰色のアレンジメント 自画像’(1872年 デトロイト美)
横浜美ではじまった‘ホイッスラー展’(12/6~3/1)を早速みてきた。アメリカ人のホイッスラー(1834~1903)はイギリスで名が知れた画家なので画集に載っているいる作品の多くがテートブリテンなどイギリスにある美術館の所蔵。
その一つバーミンガム大学にあるバーバー美からすばらしい傑作がやって来た。‘白のシンフォニー NO.3’,テートブリテン蔵の‘白のシンフォニーNO.2’とともにチラシで大きく扱われているこの作品、チラシを眺めているときみたいという思いは手に団扇をもち顔が後ろの鏡に映っている‘NO.2’のほうが強かった。
ところが、隣同士に並んだ2枚をみると、心は一気に‘NO.3’のほうに傾いた。とくに視線が釘づけになるのが左にいる女性。身に着けている衣服の白いこと。この白の輝きが整った顔立ちをいっそうひきたてている。普通の肖像画とはちがい2人の女性は舞台で芝居を演じている役者がみせるようなくだけたポーズをとっている。だから、どこかゆったり気分で女性の美しさを感じることができる。Myお気に入り女性画に即登録した。
ジャポニスムの話には日本の浮世絵や美術品に心を奪われた画家やデザイナー、工芸家がたくさんでてくる。ホイッスラーもそのひとりで浮世絵や陶磁器の収集にも励んでいた。そうした日本熱が高じてホイッスラーは一人の西洋の女に着物を着せ200%ジャポニスムの香りがする作品を3点描いた。
2点はワシントンのフリーア美にある‘陶器の国の姫君’と‘金屏風’、もう1点は今回フィラデルフィアからお出ましいただいた‘紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン’、昨年現地でもお目にかかったが、この絵が日本にやって来るのは2度目。今ではジャポニスムというと真っ先にこの絵を思い浮かべる。
男性の肖像画で大変魅了されたのは展示室に入るとすぐ出迎えてくれる‘自画像’とオルセーにある母親の肖像と同じように横向きで描いた‘トーマス・カーライルのの肖像’、画集でみて気になっていたが本物はまさに肖像画の傑作だった。