オルデンバーグの‘幾何学的なネズミ’(パワーズ・コレクション)
フンデルトヴァッサーの‘心を移した恋人を愛しつつ待つのはつらい’
ニキ・ド・サンファル(1930~2002)という女性の作家に遭遇したのは2006年、大丸ミュージアム・東京で開かれた回顧展、予備知識がなかったがチラシに誘われて出かけた。
その作品は小さい頃楽しんだ海水浴で必須のビニール製の浮き袋とかアヒルの玩具のイメージ。表面がつるつるし柔らかそうな‘白い踊るナナ’、おもわず手で触れたくなる。足を大きくひろげダイナミックに踊るナナの姿はどうみてもキンチョウのCMにでてくる大阪のオバちゃん、たぶん調子のはずれた歌も歌っているな。
栃木県の那須町にサンファルの作品を集めたニキ美があるという、この作品はこの美術館のコレクション。この展覧会をみたときこちらの方面に旅行したときは訪問しようと思ったが、まだ実現していない。楽しそうなところだから行ってみる価値はありそう。
昨年国立新美で開催された‘アメリカン・ポップ・アート展’でオルデンバーグ(1929~)に開眼した。長くみていたのはぐにゃっと形が押しつぶされたドラムセット。もうひとつはっとさせられたのが赤で彩色したアルミニウムでつくられた‘幾何学的なネズミ、スケールB’、瞬間的にミッキーマウスの形が頭をよぎった。確かにこの作品は思いきりポップしている。
フンデルトヴァッサー(1928~2000)とビュフェ(1928~1999)は同い年でサンファル、オルデンバーグもほぼ同世代。ウィーンに住んでいたフンデルトヴァッサーが1971年に制作した‘心を移した恋人を愛しつつ待つのはつらい’はとてもおもしろい作品。玉ねぎが屋根にくっついたような3つの建物の窓をみると涙が落ちている。逃げた女を追って大泣きすることはないのに。
ビュフェは子煩悩だったようで子どもは3人いた。左がダニエル(8歳)で右がヴィルジニー(9歳)、女の子はバルテュスが描いた少女をちょっと連想させる。