茨城県近美で行われている‘中村彝展ーアトリエから世界へー’(11/10
~1/13)をすべりこみセーフでみてきた。ここへ過去2度きたときはク
ルマだったが、今回はJR常磐線の特急に乗ったので東京駅から1時間ちょ
っとで水戸駅に到着した。正午すぎで水戸だから時間はたっぷりあるので
HPでチェックしたバス乗り場へむかったが、美術館近くに止まるバスは
この時間帯は運行していない!?すぐ頭を切り替えタクシーに乗り込んだ。
以前美術館を訪問したとき、水戸生まれの洋画家、中村彝(1887~
1924)に50%開眼した。そして、これを機に彝という漢字を‘つね’と
読めるようになった。昨年が没後100年だったので回顧展が開かれたの
だが、じつは12月の初旬にこの情報が入ってきた。これはまったく迂闊
だった。‘日経おとなのOFF 絶対見逃せない美術展’に頼りすぎたことの
落とし穴に遭遇したような感じ。年末は忙しいので年明けの出動となったが、
悔いを残さずに済むことになった。ミューズに感謝!
昨年の12/3にみた‘山本芳翠展’同様、中村彝も大回顧展だった。もう完璧
と思うくらい主要作品が国内の美術館からどどっと集結していた。予想通り
の決定版の回顧展。本当にすばらしい!あと3日あるので、好きな方は是非!
パトロンの相馬夫妻の娘俊子を描いた有名な絵、‘少女裸婦’(愛知県美)、
‘小女’(中村屋)、‘少女’(横須賀美)が3点揃って並んでいる。今回の大き
な収穫はこれらより数年前に描かれたルノワールを彷彿とさせる‘女’、思わず
足が止まった。そして、三井住友銀行が所蔵する‘友の像’にもぐぐっと惹きこ
まれた。花魁の化粧を連想させる白い顔と強い目力に吸い込まれそうだった。
数多くある人物画ではチラシに使われている‘頭蓋骨を持てる自画像’はやはり
すごい絵。ヨーロッパに住んでいる美術ファンがこれをみたら多分違和感な
くすっと絵の中に入り、レーニやカニャッチらが描いた髑髏がでてくるマグダ
ラのマリアの絵を思い浮かべるかもしれない。また、セザンヌの影響を受けてたくさん制作した静物画にもいいのがいくつもある。とくに惹かれたのはリンゴの皮の赤がリアルに心に響く茨城県美蔵。前にもみて惹かれていたが、こういう回顧展に多くの作品がでてくるとこの静物画の価値がより際立ってみえる。