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Channel: いづつやの文化記号
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ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 濱田庄司

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Img_0002_20241109232601     ‘白釉黒流描大鉢’(1971年 益子参考館)

Img_0003_20241109232601   ‘琉球赤絵春來春去水指’(20世紀 アサヒビール大山崎山荘美)

Img_0004_20241109232601    ‘柿釉赤絵角皿’(1973年)

Img_0001_20241109232601    ‘藍塩釉茶碗’(1959年 大阪市東洋陶磁美)

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 ‘鉄絵茶碗’(1943年 大阪市東洋陶磁美)

河井寛次郎と共に民藝派陶芸を牽引した濱田庄司(1874~1978)の回顧展に出かけたとき、一番の楽しみは大皿。その見どころは濱田庄司の代名詞になっている‘流し掛け’という陶芸技法。柄杓で釉薬を瞬間芸のように流し掛けて即興的に生み出された文様はポロックのアクション・ペインティングのやきもの版といったところ。この装飾を施すのに15秒以上はかからない。

それで多くの訪問客はこう尋ねる。‘早すぎるのではないか。15秒しかかからないのになぜそんなに高価なのか’。すると濱田は‘皿をつくるのには、60年と15秒もかかっているのです’と答える。この話を聞いて名言だなと思った。抽象画の世界と何ら変わらないこの大皿の名品を運よくいくつもみることができたが、まだ縁がないのが‘白釉黒流描大鉢’。所蔵する益子参考館は訪問したが、なぜかこれは展示されてなかった。

‘流し掛け’同様、大変魅了されているのが赤絵の作品。赤と緑のすっきりした線で表現された草花と漢字の組み合わせが軽やかな気分にさせてくれる‘琉球赤絵春來春去水指’と‘柿釉赤絵角皿’が当面のターゲット。アサヒビール大山崎山荘美にあるのは鑑賞の機会はありそうだが、個人蔵の角皿は夢のままに終わるかもしれない。これと絵柄の動きをみせる調子が似ている‘鉄絵茶碗’も思わず足がとまりそう。

この品のいい茶碗を所蔵している大阪市東洋陶磁美の濱田庄司コレクションをどさっとみせてくれる特別展が2010年栃木県美で開催された。横浜から大遠征をして楽しませてもらったが、これと青の強烈なインパクトによって目がかっと開く感じになる‘藍塩釉茶碗’は展示替えのためみることができなかった。質の高いコレクションなので本物に遭遇すると感激するかもしれない。


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