‘封筒 つりがね草・菜の花・どくだみ’(1912~1926年)
東京都庭園美術館で開催されている‘YUMEJI展’(6/1~8/25)を滑り込
みセーフでみてきた。会期が残り5日となったので女性を中心に大勢の人が
館内にいた。久しぶりの訪問だから、本館の展示の導線がちょっと迷路のよ
うに感じられた。これで終わりかなと思ったら新館に続くとあったので、
さらに進んでいった。こちらは明るくて広い展示スペースだから、気分を一
新して夢二ワールドを楽しんだ。
何度も体験している竹久夢二(1884~1934)の回顧展であるが、
今回出品されているのは岡山市にある夢二郷土美のコレクション。関心の的
は2点の油彩画。最近発見されたという‘アマリリス’と夢二がアメリカに滞在
しているときに描かれた‘西海岸の裸婦’。入館してすぐ目にとびこんできた
‘アマリリス’については、7月大阪のあべのハルカス美で手に入れたチラシ
(2025.1.18~ 3.16開催)をみるまではまったく情報がなかった。モデルの女
性は目が大きくて手が異様に長いのは最高傑作‘黒船屋’と似ており、画面に
吸い込まれる。こんないい油彩があったとは!
一方、‘西海岸の裸婦’はMy夢二図録に2016年に報じられた新聞記事が
ファイルされているので、ようやく幸運がめぐって来たか、という思いが強
い。夢二がアメリカ滞在中に交流のあった写真家の孫がこの裸婦図を夢二郷
土美に譲渡してくれたおかげで、9年後にお目にかかれた。‘待てば海路の
日和あり’である。
この2点以外はだいたいみているので、肩の力をぬいて絵の前に立った。
やはり思わず足が止まるのは‘立田姫’と‘大徳寺’。なぜか立田姫をみるたびに
シンガーの中島みゆきを連想する。本館2階にデザイナー、夢二の豊かな
才能がみれる絵封筒、‘つりがね草’、‘菜の花’、‘どくだみ’がどんと飾られてい
た。心が軽くなりいい気分でみていた。