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Channel: いづつやの文化記号
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ミューズにとどけ追っかけ絵画! ガストン カッツ

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Img_20240724225601   ガストンの‘原住民の帰還’(1957年 フィリップス・コレクション)

Img_0002_20240724225601    ‘都市の境界’(1969年 MoMA)

Img_0001_20240724225601   ‘緑の海’(1976年 シカゴ美)

Img_0003_20240724225601   カッツの‘パッシング 自画像’(1962~63年 MoMA)

シュルレアリスムや抽象絵画ではその作品につけられたタイトルがすっと頭の中でイメージできないのが普通。だから、いっそのこと‘無題’となっているほうが気軽にみられる。アーテイストによっても個性がタイトルにでてくる。たとえば、ダリは長いタイトルをつける。マグリッドは絵の方はハッとさせられるものの割りと表現したいことが伝わってくるが、そのタイトルは理解できないことが多い。

カナダで生まれたアメリカ人のガストン(1913~1980)は作品にドキッとするタイトルをつける。ワシントンのフィリップス・コレクションが所蔵する‘原住民の帰還’は画面に対する姿勢をシャンとさせる抽象画。じっとみてると原住民たちが右から左へ進んでいるようにみえなくもない。

‘都市の境界’は漫画を真似たカリカチュアをみているよう。おもちゃの車に乗っているのはクークルックスクラン(KKK団)の頭巾をかぶった男だが、邪悪でハードなヴァイオレンスはなく無知蒙昧に暴力を象徴的に表現している。シカゴ美で見逃した‘緑の海’は画面の上半分に描かれたものが怪物的な存在感を放っている。バラバラにされた足、曲がった膝、そしてぺたっと横にされた靴の底。どうして、緑色の海面に出現したのか?

NYのブルックリン出身のアレックス・カッツ(1927~)は日本で開催されたホイットニー美展に出品された画面いっぱいに描かれた平面的なポートレイトによって名前を知った。そして、2013年METで運よく遭遇したミニカッツ展で無駄をはぶいた明快なフォルムと輝くばかりのシャープな色彩が印象深い人物像と最接近し、完璧に嵌った。だから、MoMAにある‘パッシング 自画像’がみたくてしょうがない。


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