‘アンファミリア―・ピープル’(2023年 サンフランシスコ アジア美)
京都で開かれている‘村上隆 もののけ京都’(2/3~9/1)の図録を毎日な
がめ、村上ワールドにつつまれた京都市京セラ美の展示会場を想い起こして
いる。そして、スマホで撮影した写真を図録の空きスペースに気持ちよくぺ
たぺた貼っている。今回の図録も‘五百羅漢図展’(2015年 森美術館)と
同じく平凡社が担当している。値段は高いが(6600円)、よくできてお
り、わが家のお宝図録に加わった。最後のほうの頁に気の利いた工夫がされ
ている。‘インスタレーション風景’と称して、展示室に入る前の中央ホール
に設置されている‘阿像・吽像’の風景からはじまって観客が進む導線に沿っ
て作品の展示状況がずらずらっと映し出されている。これは本当にいいアイ
デア、‘そうそう、これをみて右に曲がってあれがあったよね!’という感じ
で、ハイになった気分がそのまま蘇ってくる。
My村上隆図録にはスマホ写真のほかに4月に放送されたNHKの日曜美術館
や‘フロンティア’ででてきた情報もしっかり載せている。6月に定例の同窓
会が開かれたとき、久しぶりにロサンゼルスに住んでいる友人が参加した。
みんなの質問が集中したのがドジャーズの大谷翔平のことだったが、現地の
人ならではのおもしろい話が終わった後、彼を独占し‘フロンティア’にでて
きた‘ザ・ロード’という現代アート専門の美術館がある場所を教えてもらっ
た。この美術館がコレクションしている村上隆の最新作が‘クローンX’。
番組ではサンフランシスコにあるアジア美にある‘アンファミリアー・ピー
プル’を何点も拡大してくれた。歌川国芳や近代日本画の片岡球子の作品がす
ぐ頭に浮かんだが、西海岸美術館巡りの旅を実現させ、再度村上隆とはしゃ
ぎたいと強く思った。
資産家美術コレクターが所蔵する村上隆をいくつも見せつけられた。40代?
くらいの女性が熱く語っているのはリビングルームに飾ってある‘Sparkle/たん
たん坊 果てしない’、つい‘こんな楽しい絵を毎日ここでみているの、羨まし
い!’とつぶやいてしまう。‘フロンティア’に登場したギャラリーの男性オーナ
ーが村上隆の細部へのこだわりに感心していたのが‘High school girl Ko²’。
女子高校生のフィギュアでは‘持っているバッグの中に本がある’と唸っていた。
また、スイスの時計メーカーとのコラボもおもしろかった。割れやすいサファ
イアでトレードマークの‘お花’を形どり2020年に売り出したところ、
4500万円の限定50個が完売したという。村上隆が好きな美術愛好家が世
の中にはたくさんいる。