‘ブルー・ポールズ:ナンバー11’(1952年 オーストラリア国立美)
抽象絵画や現代アートの世界には具象画と変わらないほど美しさを感じる作
品もあるし、表現がカオスを極め落ち着かないものもある。アートは理解す
るものと思って鑑賞してないので意味はわからなくても色彩やフィルムが心
にぐさっとくるものには心底魅了される。抽象絵画で誰の絵にもっとも惹か
れているかというと、ずばりカンディンスキー(1866~1944)と
ポロック(1912~1956)。
カンディンスキーの美に開眼するのに大いに貢献してくれたのはポンピドゥ
ーとNYにあるグッゲンハイム美。ここにある後期に描かれたカンディンスキ
ーの作品に魅了され続けている。これに対し、ポロックのあのアクションペ
インティングの傑作に200%感動する舞台となったのはメトロポリタン。
飾ってあったのは1950年に描かれた大作‘秋の律動’。そして、この絵と同
じくらい痺れる作品が2012年のポロック展が開かれた東京近美に登場し
た。テヘラン現代美術館から出品された‘インディアンレッド地の壁画’。これ
も1950年の制作。
ポロックに再度酔いしれたいと願っているが、その多くがアメリカにある。
揺れ動くような点や線の美しさが色彩豊かな細密画のように迫ってくる作品の
基準作としているのが‘インディアンレッド地の壁画’。これに似た感じ3点が
当面のターゲット。すごく品のいい色合いが心を軽くしてくれるホイットニー
美蔵の‘ナンバー27’、1952年に制作された黒い電信柱のような‘ポール’に
よって強い緊張感が生まれている‘ブルー・ポールズ:ナンバー11’と白黒を
バックに三原色のループが印象的な‘収斂’。キャンベラのオーストラリア国立
美は訪問する価値がありそう。
ポロックを求めてアメリカをまわると大きな旅行になるが、ダラスにある
‘大聖堂’や今心が向かっている西海岸のサンフランシスコの近代美が所蔵する
‘秘密の守護者’に是非ともお目にかかりたい。