歌川豊春の‘花魁と禿図’(1789~1801年 中外産業株式会社)
大倉集古館で開催されている‘浮世絵の別嬪さん’は後期(5/8~6/9)に
入り、作品がごそっと入れ替わったので早速出動した。お目当てはズバリ
勝川春章(1743~1792)の‘雪月花図’。前回みたのは2006年に
MOA美(熱海)で公開されたときだから、それから18年ぶりの対面であ
る。つくづく日本画や浮世絵の鑑賞は長期戦だなと思う。3点のなかでぞ
っこん参っているのは真ん中の‘月’に描かれている机に頬杖をついて筆をと
る超別嬪(べっぴん)さん。再度、顔の白の輝きを焼きつけた。
MOAからはもう一点重文の肉筆美人画が出品されている。葛飾北斎
(1760~1849)の‘二美人図’。今回前期とあわせると全部で4点み
れるが、こんな機会は滅多になくその3点がはじめてお目にかかるものだ
から大収穫だった。北斎の肉筆も師匠の春章の技をうけついで紋様をふく
めて衣裳の描き方がとても精緻なのでつい見入ってしまう。
前期に新発見の美人画が登場した喜多川歌麿(1753~1806)は幼い
男の子と兎に視線を奪われる‘雪兎図’と二人の女性のくつろぐ姿に感情移入し
てしまう‘納涼二美人図’。My‘歌麿図録’は5冊もできたのに、この2点は入
ってない。個人が所蔵する肉筆の美人画がひょいとでてくるのだから、浮世
絵の世界は奥が深い。
会期の終了(5/15まで)が近づいている‘大吉原展’とコラボする歌川豊春
(1735~1814)の‘花魁と禿’を息を呑んでみていた。‘登竜門’の模様
が強いインパクトをもっており、思わず足がとまる。これぞ見ごたえ十分の
THE花魁!といった感じ。そして、視線を釘付けにするのが鳥文斎栄之
(1756~1829)の‘蛍狩美人図’。細い白い足をみていたら、あるこ
とがかぶってきた。どうでもいいことだが、それは大相撲春場所で新入幕
優勝して大きな話題になった尊富士(たけるふじ)の異様に細い足。