ピカビアの‘ウドニーと再会’(1913~17年 MoMA)
‘キャッチ・アズ・キャッチ・キャン’(1913年 フィラデルフィア美)
パリのポンピドーが所蔵する近現代絵画は過去に2度ビッグイベントのよう
な形で披露され大きな話題となった。最初は2011年に国立新美で開催さ
れた‘シュルレアリスム展’、そして、昨年の10月から今年の1月末まで
西洋美で‘キュビスム展 美の革命’があり多くの美術ファンを楽しませて
くれた。一級の作品によって美術史における革命的な運動の全貌を知り、新
たな絵画の可能性を感じられるのだから、まさに美術鑑賞の醍醐味である。
キュビスム展では大収穫の絵があった。それはパリではお目にかかる機会が
なかったレジェ(1881~1955)の‘婚礼’。ここにキュビスム様式で
描かれた人物が何人いるかパズルを解くように時間をかけて探した。その答
えは10人。この絵がきっかけとなってレジェのターゲットなクリアになっ
た。この絵の1年後に制作された‘青い服の女’。絵を所蔵しているバーゼル美
はスイス美術館めぐりが具体化したときはベルン美やチューリヒ美同様、
感動の袋が爆発するコアの美術館となりそう。
レジェの絵はオランダのクレラー=ミュラー美にあるコレクションも有名で
‘トランプ遊びをする人々’や密度の高いキュビスムのイメージがする‘森の中の
裸婦’などと運良く遭遇した。そのため、今はマドリードにあるティッセン=
ボルネミッサ蔵の‘円盤’に関心がむかっている。この美術館はこれまで2度足
を運んだが、縁がなかった。次はミューズのアシストを期待している。
レジェとほぼ同時代を生きたピカビア(1879~1953)は以前から気
になっているアーティストだが、作品に出会うことがとても少ない。‘最高の
瞬間’だった‘ウドニー’(ポンピドー)のキュビスムのインパクトはレジェに
比べると柔らかく、洒落た感じがする。これは曲線と直線の絡みがほどよく
融合しており立体的な形態に求心力があることと関係している。次に狙って
いるのはMoMA蔵の‘ウドニーと再会’とフィラデルフィア美で展示されてな
かった‘キャッチ・アズ・キャッチ・キャン’。同じくアメリカのシカゴ美に
ある具象画に回帰した作品‘頭部と背景’にも興味が膨らんでいる。