‘ジャンヌ・エビュテルヌ 芸術家の妻’(1918年 ノートン・サイモン財団)
日本の美術館で頻繁に回顧展が開催される近現代絵画の画家はピカソ、ゴッ
ホ、モネ。ほかの画家は美術本に載っているほど有名であっても、2度回顧
展に遭遇するにはだいぶ時間がかかる。たとえば、モディリアーニ
(1884~1920)は2008年、名古屋市美に足を運んだ後、次の大
イベントまで14年かかり2022年ようやく大阪中之島美に再度名画の数
々が結集した。
絵画情報をつかむために展覧会の図録や市販されている画家本を購入すると、
主要な作品がおおよそインプットされる。ここで大事なのは気になる作品を
どこの美術館あるいは個人のコレクター所蔵しているかという情報。もし
、個人蔵の場合は鑑賞の可能性はゼロに限りなく近い。モディの‘黒いネクタ
イの女’はパリの個人がもっている。絵の存在を知って以来長く魅了され続け
ているが、ずっと図版だけで我慢している。そして、セザンヌの‘カード遊び
をする人々’を彷彿とさせる‘テーブルに肘をついて座る男’もみたくてしょう
がない絵だが、これもジュネーブ在住のコレクターのもとにある。
鑑賞を再チャレンジしようと思っているのはシカゴ美にある‘ポンパドゥール
夫人’とMoMA蔵の‘新郎新婦’。ともに1915年に描かれている。2008
年念願のシカゴ美を訪問したとき、ビッシリ書き込んだ必見リストのなかに
当然モディも入っていた。でも、姿をみせれくれなかった。日本で開催され
たシカゴ美名品展で‘ネックレスの女’は運よくお目にかかれたのに2連勝は
ならなかった。こういうこともある。これまで4回でかけたMoMAでは
なぜか‘新郎新婦’に縁がない。手元のモディ本2冊に載っている作品に会え
ないとがっくり気落ちする。
モディの妻、ジャンヌの絵はまだ数点残っているが当面のターゲットはパサ
ディナのノートンサイモン財団にあるもの。アメリカ西海岸旅行が実現した
ら、ここが所蔵するモディとアンリ・ルソーのジャングル画と対面できること
を祈っている。