‘アルルカンのカーニバル’(1924~25年 オルブライト・ノックス・アート・ギャラリー)
‘夜と朝の雨にうたうナイチンゲール’(1940年 ぺリス・ギャラリー)
‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’(1941年 MoMA)
ミロ(1893~1983)の明るい色彩を使って描かれた漫画チックな人
物や生き物、そして線と丸などにより構成された記号的な抽象表現にとりつ
かれたお陰でシュルレアリスム絵画にのめり込んでいった。だから、シュル
レアリストのなかではミロの回顧展へ出かけることが一番多い。そのなかで
ビッグなイベントだったのが1990年に訪問したバルセロナのミロ美と
2002年運よく巡りあった大規模な回顧展(世田谷美)。
ミロの楽しい絵がどどっと集結し心をふるわせる回顧展だったが、残念でな
らないことがあった。アメリカから出品された‘アルルカンのカーニバル’が
東京には展示されず次の巡回先での公開となったこと。バッファローにある
オルブライト・ノックス・アート・ギャラリーは一度日本でマティスなどの
所蔵作品が披露されたので、その質の高いコレクションは知っていたからな
おさら悔いが残る。リカバリーはあるだろうか。
23点からなる連作‘星座’に魅了されつづけているが、これまでみたのは
ミロ美で遭遇した‘朝の星’のみ。図版で確認したほかの作品は8点。どれも
惹かれるがNYにあるぺリス・ギャラリーが所蔵する‘夜と朝にうたうナイチ
ンゲール’とMoMAにある‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’に望み
をかけている。何度か足を運んだMoMAなのに一度もミロの星座シリーズ
は展示されてなかった。それが気になる。通常は飾らないのだろうか。
そして、MoMAでは1929年に描かれた赤や黄色、緑の組み合わせが気
分をウキウキさせる‘1750年のミルズ夫人の肖像’もまだ縁がない。ヨー
ロッパではミロ美のほかにマドリードのソフィア王妃芸術センターとパリの
ポンピドゥーでも目を楽しませてくれるが、狙っているのはバーゼル美にあ
る‘逆立ちする人物’。これはスイス美術館巡りの必見リストにしっかり入れて
いる。