‘セックス・アピールの亡霊’(1932年 ガラ=サルバドール財団)
シュルレアリストで心をとらえて離さないビッグ3はミロ、ダリ、マグリッ
ト。回顧展が開催される回数が多いのはこの順番。ダリ(1904~1989)
については2006年と2016年に行われた大規模な回顧展が強く印象に
残っている。この間隔なら2026年にまたあるかもしれない。そのときの
出品作は勝手な妄想によって決まっている。
対面を一番待ち望んでいるのが‘聖アントワーヌの誘惑’。所蔵しているベルギ
ー王立美(ブリュッセル)を2度訪問したのに、その都度運が悪くお目にか
かれなかった。手に握りしめた必見リストの第一列に載せていたのでガック
リ、ベルギー・オランダ旅行は優先順位がぐっと下がっているため、果たし
て会えるかどうか。
ダリの画風が古典画に回帰した感じが強い‘十字架の聖ヨハネのキリスト’が飾
られているのはイギリス北部の都市グラスゴー。この絵は‘聖アントワーヌ’
同様、なんとしてもみたいという思いが強い。ダリがこういう意表を突く視点
から宗教画を描いたというのが本当にすごい。オランダのロッテルダムにある
ボイマンス美が所蔵する‘眠り’も鑑賞欲を刺激する。まゆげ、鼻、唇が痛そう。
夢にでてくる世界という感じがするのが‘水に映る白鳥が象になる’と小品の
‘セックス・アピールの亡霊’。ダブルイメージやダリの小さい頃の感情が詰まっ
た作品なのでいつかお目にかかりたい。夢は叶えられるか。