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Channel: いづつやの文化記号
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メリークリスマス!

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   ムリーリョの‘聖母子’(1670年代 メトロポリタン美)

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昨年からわが家のクリスマスはぐんとクリスマスらしくなった。それまでは
‘メリークリスマス!’をワインで乾杯してちょっと豪勢なステーキを食べる
というごく普通のクリスマスだった。その習慣が変わったのはクラシックの
CDを本格的に揃えだしたことが関係している。24日と25日は終日クリス
マスにふさわしい音楽が流れ、キリスト教の雰囲気を耳からも感じるように
なった。

今年聴いたのはグラモフォンから発売された‘ピエ・イエス’(録音:1959
年1月~1990年4月)。まさに癒しの音楽がずっと流れてくるという感じ。
もう一枚はソプラノ歌手のミレルラ・フレーニが歌った‘わが母の教え給いし
歌’。とくに心に沁みるのがヘンデルの‘オンブラ・マイ・フ(なつかしい木陰)’
とシューベルトの‘アヴェ・マリア’。こういう曲を聴くと親しい友人のひとり
で日曜日はいつも教会に行っている熱心なキリスト教徒が頭をよぎる。いま
ごろは荘厳な宗教音楽が流れるなかキリストの生誕を祝っているのだろうと。

クリスマスにはいつも図録をいくつもひっぱりだして宗教画をみるのがルーテ
ィンだが、今年はスペイン・セビリア出身の画家,ムリーリョ(1617~
1682)の‘聖母子’を長くみていた。これは昨年国立新美で行われた‘メトロ
ポリタン美展 西洋絵画の500年’に出品された。聖母マリアも幼子イエスも
宗教画ぽくなく、ヨーロッパの街を歩いているとみかける優しい母親と可愛い
赤ちゃんと変わらない。マドリードのプラド美ではムリーリョの傑作に何点も
お目にかかったが、どの絵もマリアは柔らかで親しみを覚える姿で描かれてい
るからとても心が安らかになった。ラファエロ同様、ムリーリョの聖母子に魅
了され続けている。


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